恋の引力で【青】 (ページ2)

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一度引き合ったら離れないページ2

これは私が幼い頃の話だ

その日は、花火大会に家族三人で出かけていた

私はお母さんと手を繋ぎながら歩いていたんだけど、屋台の食べ物に目を奪われてうっかり手を離してふらふらと歩いてしまった

両親が迷子になった私を探し回っていた時、私は何をしていたかというと･･･

「お母さーん、お父さーん･･･っ！」

係の女性に連れられた本部席のテントの中で、目に涙をいっぱい溜めていた

「大丈夫よ。ここにいればお父さんとお母さんが必ず迎えに来てくれるから」

そう優しく慰めてくれたおかげで、私の涙はだんだんと涙も止まっていく

だけど女性は係のおじさんに呼ばれて、「いい子で待っててね」と言ってすぐにこの場を離れて行ってしまった

「あっ･･･」

先程の安心感が一気に消えて、また不安が募りだす

ここに一人でいるのが怖くて、私の泣き声がテントに響く

このまま一人ぼっちなのかも、なんて泣きじゃくっていた時、突然隣から声がした

「うるさいなぁ」

「えっ･･･？」

驚いて声がした方を見ると、そこには同い年くらいの男の子があぐらをかいて椅子の上に座っていた

「もうすぐ始まるんだから、静かにしてよ」

「始まるって、何が･･･？」

涙を拭きながらそう訊くと、男の子は「花火に決まってんじゃん」と視線を空に向ける

つられて私も空を見上げた直後、大きな花火が空に上がった

「わぁ･･･！」

「ここは本部席だから花火がよく見えるんだって、さっきおじさんが教えてくれたんだ」

花火に目を向けながら、私にそう教えてくれる

私も食い入るように花火から目が離せなくて、いつの間にか涙も止まっていた