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どちらさんでしょう? ページ4

(side咲也)


ピンポーン…

「オ?お客サンネ?」
「みたいですね。はーい、今行きまーす!ごめん咲也君、行ってもらっていいかな?カレーから目が離せなくて…」
「いいですよ!行ってきます!」


昼時のMANKAI寮に来客を知らせるチャイムが鳴る。今日は誰か来る予定はなかった筈なので、宅急便か何かだろうか?パタパタと玄関へ駆けていき、手軽な履き物を履きながら「はーい!」と返事した。


「はーい、どちら様ですか?」
「あ…こんにちは」
「こんにちは…えっと…?」


扉を開けてみると、そこには和やかな雰囲気を纏った綺麗なお姉さんがいた。誰かのお姉さんだろうか?柔らかくニコリと微笑みながらお姉さんは口を開いた。


「私、この寮の隣に住んでる相楽Aといいます。今日はご挨拶に参りました」
「あ、そうだったんですね!すみません、今支配人が留守で…」


もしかして来客の約束を忘れていたのだろうか?支配人ならあり得そうだから申し訳なさが込み上げて、それが表情に出ていたのかお姉さんはくすくす笑みを浮かべた。


「いいの、私も突然来ちゃってごめんなさいって伝えてくれる?」
「わかりました!わざわざ来ていただいたのにすみませんでした…」
「そんな謝らないで!ちなみに、劇団の監督さんはいらっしゃる?」
「はい!少し待ってもらってもいいですか?」
「うん」


先程と同じ笑顔で返してくれるお姉さんをあまり待たせるのも申し訳ない。パタパタとキッチンの方へ向かうと、丁度扉が開いた。


「咲也君、誰だった?」
「あ、カントク!お隣さんがご挨拶に来てくれました!」
「お隣さん?……お隣さん!?」
「うえっ!?は、はい…」


「お隣さん」のワードを聞いた瞬間、カントクは血相を変えて飛び出していった。ど、どうしたんだろう…?気になって再び玄関へ戻ると、カントクがもの凄い勢いで頭を下げていた。


「相楽さん…でしたよね?初めまして、MANKAIカンパニーで監督を務めてます立花いづみです!すみませんこちらから出向かないといけなかったのにわざわざ来ていただいてしまって…!!」
「いいんです顔を上げて下さい!私も早くご挨拶に伺わなきゃと思っていたので…!」
「いえいえこちらこそ支配人がしれっと図々しく劇伴の依頼をしていただなんて…!」
「それについては全然大丈夫ですから!顔を上げて!……《ぐ〜…》あ、」
「え…?」
「…あはは」


(繰り広げられていた頭の下げ合いは)
(お姉さんのお腹の音で終結した)

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作者名:渡邊 | 作成日時:2019年8月16日 12時

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