探り ページ18
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「あれ?八神さん。いらっしゃい」
「どうも」
後日の昼休み。天気が良いので中庭に来てみると、先日同様幸村が花に水やりをしていた。
「本当に自主的に世話してるんだ」
「うん。花の世話は楽しいよ?成長を見るのは楽しいし、心が穏やかになる」
「へぇ…」
楽しそうに花の事を話す彼は、女子顔負けの綺麗な微笑みを向ける。あぁこれが美少年というやつか。これから読む小説で美少年という単語が出てきたら幸村の顔を思い出してしまいそうだ。そんな事を考えながら、私は花壇の側にあるベンチに腰掛けた。
「花は育てた事ないからわからないな」
「じゃあここで一緒に育ててみる?」
「んー、遠慮しとく」
「それは残念だな。君と一緒ならもっと楽しいと思ったのに」
「君が本気なのに私が中途半端な気持ちでやるのは…君にも花にも失礼かなって」
「…真面目なんだね。そういう気持ち俺はすごく良いと思うよ。でもこれはそんなに考えすぎなくても、気が向いた時に俺に付き合う程度の気持ちでいてくれればいいよ」
「……」
「だから、気が向いたらここに来てくれると嬉しいな」
花を見ながらそう呟く彼の表情は、ベンチに座る私の角度からは見えない。同じ声色で話してはいるが、言葉の意志はどっか別の方へ向けられているような。無闇に干渉する事でもないと思い、「気が向けば」と一言だけ返し、手元の本に集中した。
「そういえば、八神さんは何か部活に入ってるんだっけ?」
「帰宅部」
「どうして部活入らなかったの?」
「家で家事やらないといけないから」
「家事を?偉いね。ご両親は夜まで仕事なのかい?」
「出張中。家には私しかいないよ」
「そうなんだ…。偉いって言っちゃったけど、大変だね」
「まぁ、そんな生活になって長いしね」
嘘はついていない。家事をやらなければいけないのは事実だ。だが部活に入らない理由は"面倒だから"、ただそれだけだ。入りたいと思う部活があれば入ってみたいとは思う…が、もうこの時期だと入部した時気まずいからもう手遅れだ。
つまり何が言いたいかというと、私はいつかくるかもしれない"テニス部への勧誘"をこれでやんわり断ったのだ。あくまでもしかしたらの話だが、何が起こるかわからないから対策するに超した事はない。くすっと幸村が笑う声がしたので、視線を本から彼に向けた。
「何?」
「ううん、なんでもないよ」
「は?」
「気にしないで」
(はぁ、やっぱり君は)
(一筋縄じゃいかないな)
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かるぴん(プロフ) - とっても面白くて一気に読みました。続きが気になりすぎて仕方ないです！お時間のあるときに更新してくださると嬉しいです。お体に気をつけてください。 (2021年2月22日 5時) (
レス) id: e2b715c702 (このIDを非表示/違反報告)
otohsun08050054(プロフ) - とっても面白かったです。続きが気になります。更新頑張って下さいね。 (2020年7月28日 10時) (レス) id: 736f999e12 (このIDを非表示/違反報告)
吹雪彩香 - 続きはまだですか？ (2020年2月13日 5時) (レス) id: 9f5e24e49c (このIDを非表示/違反報告)
渡邊(プロフ) - 美空さん» コメントありがとうございます！夢主の事気に入っていただけて嬉しいです(´ｰ｀*)今後も楽しんでいただければ幸いです！ (2018年4月25日 7時) (レス) id: 2443de6131 (このIDを非表示/違反報告)
美空 - 続編おめでとうございます！更新楽しみにしてます！夢主の性格好きです(^-^) (2018年4月24日 22時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：渡邊 | 作成日時：2018年2月6日 22時
