【庭球】平穏に過ごしたいだけ

お昼の友？ ページ37

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私がテニス部との関わりを持ってしまったあの厄日から早数日。私の日々は大きく一変…とまではいかないが、明らかに以前と変わった事がある。


「また来た…」
「そんな酷い言い方しなさんな。傷付くナリ」
「テニス部は屋上に集まって食べてんじゃないの？」
「あれは部活の話があったから集まっただけぜよ。普段は各々勝手に食っとる」


そう、たまにこの男…仁王雅治が私と昼飯を食べるようになったのだ。勿論私は許可などしていない。ただこいつが私の隣の男子の席に勝手に座り、こちらを向いて食べてるので一緒に食べてる風になっているのだ。


「いつもそうすればいいのに」
「なんじゃ、まるで俺がここにいるのが迷惑みたいに聞こえるのぅ」
「周りから注目されてるのわかってる？それがすごく嫌」
「周りの目なんぞ気にするもんじゃなか」
「この男は…。大体柳と真田は何処行ったの。あの2人と食べればいいじゃん」
「あの2人はいつも幸村のとこに行っとる」


あぁ言えばこう言う。むしろ何も話さなければいいのか。クラスの女子や1組に入ってきた他のクラスの女子が仁王を見る度にびっくりしたり顔を赤めたり…、それを見て噂のイケメンはこいつかと理解した。顔は綺麗だと思うが、イケメンとはどんな顔なのかイマイチわかってない私はこいつに対して何も思わない。

「弁当いつも自分で作っとるんか？」
「うん」
「ほー偉いのぅ。これくれ」
「断る」
「ぶー」
「中学生にもなってぶーって言うな」
「隙あり」
「あ、」


折角守った玉子焼きが食べられてしまった。くそぅ、今日のは割と上手く味付け出来たのに。もぐもぐと咀嚼してる仁王の顔はとても満足げだ。


「お前さんは甘めの味付けが好みなんか？」
「どちらかと言うと。つか食べていいなんて言ってない」
「ええじゃろー減るもんじゃなか」
「既に私のおかずが減ったわ」


そう言うと仁王は先程の満足げな顔からニヤニヤとした顔になった。こいつがイケメン？冗談じゃない。おかず泥棒め。つかおかずたかるくらいなら1個しか食べてないパンの数を増やせばいいのに。さっさと弁当を食べ終わり、いつものように図書室へ行く準備をする。仁王はいつも図書室までは付いて来ない。理由は聞いた事ないが、ずっと付き纏ってくるよりマシだ。こいつと話すと疲れる。



(昼休みの度に疲れるこっちの身になれ)

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