ちょっと期待 ページ29
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少年の猛スピードにより無事(鞄が周りの人に当たりまくったが)改札口に着き、ようやく少年から開放された。なんかもう、恐ろしく疲れた。
「着いたで!間に合ったか!?」
「間に合ったよ…ありがとう少年。」
「ワイ遠山金太郎や!少年やない!」
「うん、ありがとう遠山くん。」
「たこ焼きのお礼や!」
先程の暴走機関車のような彼と同一人物とは思えない程の眩しい笑顔を返され、思わずまた頭を撫でてしまった。すっかり彼はこれが気に入ったようで、もし彼が猫だったら喉を鳴らしているだろう。顔に出ててとてもわかりやすい。
「姉ちゃんまた大阪来るん?」
「そのつもり。いつかわからないけどね。」
「じゃあじゃあ!そん時はワイが美味いたこ焼き屋紹介したる!そんで今度は一緒にたこ焼き食べよな!」
本場の人が美味しいと言う程なら、そこのたこ焼きは本当に美味しいのだろう。少し楽しみにはなったが、恐らく彼は私が次いつ来るかを知る手段がない事に気付いていない。見たところ小学生なので携帯を持ってる様子もない。これは無意味な約束だ。
「(それでも…)いいよ。それじゃ、またね。」
「ばいばい姉ちゃーん!!」
私もこの良い子にまた会いたいと思うので、ほんのちょっとの可能性に期待した。
*
♪〜
「ん?」
部活の休憩時間。誰かのロッカーからメールの受信音が流れる。携帯の持ち主はすぐ自分のロッカーを漁り、携帯を探した。
「謙也、休憩中やからって携帯はマナーモードにしろ。」
「すんません!…Aから?ってもう帰ったんか!もうちょいいろやあいつ!」
鳴ったのは謙也の携帯で、メールの相手はAからだった。一覧画面だけだと名前と件名しか見えないが、件名に本題が書いてあったので彼女がもう新幹線に乗った事がすぐわかった。
From:A
件名:帰る
さっき駅で良い子に会った。
大阪の小学生は素直で優しいね。
たこ焼き美味い。
「ぷっ、あのアホ…俺からしたら件名の内容の方が重要やっちゅーねん。」
「なんや謙也、ニヤニヤして気持ち悪いな。」
「気持ち悪いとは失礼やな!」
「それはさておき、Aちゃん帰ってしまったんやねぇ。」
「四天宝寺に来ればええのに。そうすればいつでもテニスできるのになぁ。」
「せやなぁ…。そうはいかへんのはわかっとるんやけど、期待するだけならタダやしな。」
(脳内でAがいる学校生活を浮かべ)
(思わず笑みが零れた)
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otohsun08050054(プロフ) - ヤバい!めちゃくちゃ面白いのですが!もっと早くこの作品に出逢いたかった(>_<) (2020年7月28日 9時) (レス) id: 736f999e12 (このIDを非表示/違反報告)
渡邊(プロフ) - もんたろさん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉をいただき感激です…!不定期更新ではありますが、完結までお付き合いいただけると幸いです(´ー`*) (2017年12月2日 0時) (レス) id: 2443de6131 (このIDを非表示/違反報告)
もんたろ(プロフ) - テニス部の私生活?って言うんでしょうか…それがなんだか自然体って感じですごく好きです。登場人物達の雰囲気が皆やわらかくて読んでいてほっこりします。更新頑張ってください! (2017年12月1日 23時) (レス) id: 47cdc4e065 (このIDを非表示/違反報告)
渡邊(プロフ) - 和堂 桜さん» コメントありがとうごさいます!1つの話で詰め込みたい内容が多すぎて今みたいな感じになっております…。アドバイスいただいた内容を参考にしながら徐々に改善していこうと思います!ご指摘ありがとうございました(´ー`*) (2017年11月26日 1時) (レス) id: 2443de6131 (このIDを非表示/違反報告)
和堂 桜(プロフ) - 内容は魅力的なんですが・・最初の方から、「」以外の説明?みたいなところが文字がつながりすぎて読みにくいです・・。改行?とか空白を多くすると読みやすくなるかと・・すみません!!もったいないなーと思いまして!! (2017年11月25日 20時) (レス) id: 5cbf3e7e7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渡邊 | 作成日時:2017年10月6日 18時