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たこ焼き少年 ページ27

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「じゃあそろそろ行くね。もし謙也が来たらよろしく言っておいて。」
「はいね。またいつでも遊び来ぃや。」
「今度はばあちゃんに呼ばれんでも、突然押しかけて来てもええんやで。」
「いきなり来たら迷惑でしょ?ちゃんと連絡入れるよ。」
「迷惑だなんて考えんでもええんやで!ここもあんたの家なんやから、帰りたくなったら帰って来ればええんよ。」
「…うん。」


昼過ぎまで家でゆっくり過ごし、そろそろ帰る時間だ。夜遅い時間になるのも嫌なので駅に向かい始める事にした。祖父母の言葉に温かい気持ちになりながら、また近い内に来ようと心に決め、家を後にした。駅に着く前になんとなくたこ焼きが食べたい気分になったので、近くのたこ焼き屋さんに行ってみる。するとヒョウ柄のタンクトップを着た小学生がたこ焼き屋の前でメニュー看板をジッと見つめながら立っていた。


「腹減ったぁ…お金ないから買えんし、でも腹減ったし…」
「…」
「あと37円足りひん〜うぅ〜…」


37円足りないって微妙すぎるだろなんでそんな中途半端な金額しか持ってないの。こんな子の前だととても、とっても買いづらい。でもたこ焼きは食べたい。少年は並んでるわけではないので、普通にレジでたこ焼きを買って店内に行く人や食べ歩きする人もいる。みんな少年の事は気にも留めてない様子だ。


「(仕方ない…気になってしまった時点で私の負けだ…)すみません、たこ焼き2パック下さい。」
「まいどっ!お嬢ちゃん見た目の割によう食くなぁ。」
「いえ、1つはお土産です。」
「優しい子やな!そんな優しいお嬢ちゃんにたこ焼き1個サービスや!みんなには内緒やで?」
「あ、ありがとうございます…」


何もしてないのに1個サービスしてもらってしまった。観光客に優しい店なのか?1個サービスしてもらったのに申し訳ないが、私はそんな食べれる気がしない。そもそも人にあげる為の1パックだ。店を出るとさっきの少年は看板を両手で挟みながらガン見していた。そんなに近いと逆に見えないと思うんだが、落ち着け少年。


「…ねぇ、君」
「ん?なんや姉ちゃん?」


純粋無垢な目でこちらを見られ、看板から両手を離し私に向き直った。その後私の手元のたこ焼きが目に入ったのか、涎をじゅるりと吸いながら目を輝かせていた。


(あ、すごくたこ焼きを狙ってる)
(狩人…いや、どっちかっていうと獣の目だ)

食べ物を与えるのは2人目→←それでも変わらない



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otohsun08050054(プロフ) - ヤバい!めちゃくちゃ面白いのですが!もっと早くこの作品に出逢いたかった(>_<) (2020年7月28日 9時) (レス) id: 736f999e12 (このIDを非表示/違反報告)
渡邊(プロフ) - もんたろさん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉をいただき感激です…!不定期更新ではありますが、完結までお付き合いいただけると幸いです(´ー`*) (2017年12月2日 0時) (レス) id: 2443de6131 (このIDを非表示/違反報告)
もんたろ(プロフ) - テニス部の私生活?って言うんでしょうか…それがなんだか自然体って感じですごく好きです。登場人物達の雰囲気が皆やわらかくて読んでいてほっこりします。更新頑張ってください! (2017年12月1日 23時) (レス) id: 47cdc4e065 (このIDを非表示/違反報告)
渡邊(プロフ) - 和堂 桜さん» コメントありがとうごさいます!1つの話で詰め込みたい内容が多すぎて今みたいな感じになっております…。アドバイスいただいた内容を参考にしながら徐々に改善していこうと思います!ご指摘ありがとうございました(´ー`*) (2017年11月26日 1時) (レス) id: 2443de6131 (このIDを非表示/違反報告)
和堂 桜(プロフ) - 内容は魅力的なんですが・・最初の方から、「」以外の説明?みたいなところが文字がつながりすぎて読みにくいです・・。改行?とか空白を多くすると読みやすくなるかと・・すみません!!もったいないなーと思いまして!! (2017年11月25日 20時) (レス) id: 5cbf3e7e7a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:渡邊 | 作成日時:2017年10月6日 18時

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