【庭球】平穏に過ごしたいだけ

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「ほな、元気でなー！」
「夏来たらまたゆっくりテニスしよな。」
「夏と言わず、もっと早く来てもええんやで！」
「また遊ぼな。」
「…うん。」


みんなと別れ、謙也と帰宅中。次にこちらに来るのは夏休みと伝えると、どうやらテニスの大会があるらしいので忙しいようだ。全国大会に出場すれば下旬まで殆ど休みがないらしい。運動部って大変だな。それでもまた遊ぶ約束をしてくれたみんなはやはり変わり者だ。私なんかの為に時間を取らなくてもテニスに集中すればいいのに。別れて早々小春さんから来たメールの返信を作りながらも謙也の会話にも返事する。


「あー腹減ったわ…。今日の晩飯なんやろ。」
「さぁ。うちは多分お好み焼きだな。」
「ええなぁ…あ、飯食い終わったらそっち行くわ！ゲームやるで。」
「やるでと来たか。いいけど。」
「ほな、また後でな！」


お互い帰宅して、私は既に作られていた晩飯(やっぱりお好み焼きだった)を食べながら今日あった事を祖父母に話す。話すと言っても聞かれた事を答えるだけで私から新しい話題を出す事はない。2人とも聞きたがりなので新しい知り合いができた事や初めてテニスをやった事、特大ホームランを打った事まで言う羽目になってしまった。


「謙也君に感謝やなぁ。Aちゃんに新しい友達ができたなんて嬉しいわ。」
「ただの知り合いだよ。全然知らないし。」
「あんたはそうやって人と距離を置きすぎや。向こうから友達になってくれる言うたんやろ？なら甘えればええんや。」
「せや。次遊ぶ約束したらそれはもう友達と思ってええんやで。」
「…」


『また遊ぼな。』


「…約束、か。」
「ふふっ」


祖母が嬉しそうに笑いながら私を見る。そんなに嬉しそうにされても私はどう反応すればいいのだろうか。そろそろ謙也が来る頃だろう。早く夕飯を食べ終わらないと。そう思っていると、玄関の戸が勢い良く開く音が聞こえ、祖父が玄関を見に行く。勿論、そこにいたのは予想通りの人。


「邪魔するでー！」
「おっ、噂をすればなんとやらや。」
「じいさん！こんばんは。Aは？」
「まだ飯食っとるで。居間でゲームやって待っとけ。」


私の幼なじみだからというだけでこの家は謙也を自由にさせすぎだと思う。でもこれが正しいのか間違ってるか比べるものもないので、私はこの数年でこの感じに慣れてしまった。悪い事でなければなんでもいい。



(まるで家族のような幼なじみ)

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