ファーストコンタクト ページ3
*
私が学校生活を送る上で、気を付けている事がある。面倒事に巻き込まれないよう適度な距離を保つ事、目立ちすぎない事だ。この話を読むまでに何度も見ただろう。私の望みはただ1つ。平穏な日常を送る事だ。それについて理由を知りたいという奴もいるだろうが、特に理由はない。こだわり等があまりない私の中で、唯一貪欲になれるものと言ったらこれだ。
それ以外は基本どうでもいいと思っているからか、誰に対しても常に平等に接していると思う。まぁ多少の贔屓はあるが。何故かそれがクラスで受けてしまっている。別に頼りにされているわけではなく、かと言って無視されているわけでもない。「こういう子」と良いように認識されてしまっているのだ。何故だ、わからん。
「(この本ももうすぐ読み終わるな…。前半は面白かったけど、結末に近付くにつれての失速がすごいな。惜しい。)」
これは私が1年の時の話。図書委員会に入り、当番でない日でも昼休みと放課後は大体図書室に入り浸っている。今日は当番の日で、教室で昼食を摂ってすぐ図書室に向かい、貸出カウンターで本を読んでいた。お目当てだった近未来小説を読んでいたが、タイトル・宣伝の内容の期待度より劣っている内容で少し残念な気持ちになった。大人になってから読めばまた内容の捉え方が変わると思うから面白くなるかもしれないが。
「次は何を読もうかなー…」
「失礼、」
「ん?」
カウンターから出ようとすると、同学年であろう男子に声をかけられた。声のした方を向くと、切り揃えられた茶髪に糸目の少年がそこにいた。一言で言い表すなら和風美人。これだ。
「この本を借りたいんだが」
「最後のページに付いてるカードに名前と貸出日を書いてそこの箱に入れて。貸出期間は1週間なので、ご注意を。」
「ありがとう、八神。」
和風美人は私に言われたとおりカードに記入し箱に入れた。立ち去る時の姿勢も良く、良いとこの育ちなのかなと緩い感想を抱いた。にしても、どこかで見た事がある気がする。彼は私を知っているようだったが、私は知らない。はて、誰だったか。
「ま、いっか。さて、次の本を漁りに行くか。」
本棚から同じ作者の作品を手に取り、貸出カードに記入する。図書委員だからといって図書室の本を無断で持って行っていいわけではない。皆平等だ。箱に入れる時にふと先程の少年の入れたカードを見てみる。「1年A組 柳蓮二」。同じクラスだった。
(これがファーストコンタクト)
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otohsun08050054(プロフ) - ヤバい!めちゃくちゃ面白いのですが!もっと早くこの作品に出逢いたかった(>_<) (2020年7月28日 9時) (レス) id: 736f999e12 (このIDを非表示/違反報告)
渡邊(プロフ) - もんたろさん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉をいただき感激です…!不定期更新ではありますが、完結までお付き合いいただけると幸いです(´ー`*) (2017年12月2日 0時) (レス) id: 2443de6131 (このIDを非表示/違反報告)
もんたろ(プロフ) - テニス部の私生活?って言うんでしょうか…それがなんだか自然体って感じですごく好きです。登場人物達の雰囲気が皆やわらかくて読んでいてほっこりします。更新頑張ってください! (2017年12月1日 23時) (レス) id: 47cdc4e065 (このIDを非表示/違反報告)
渡邊(プロフ) - 和堂 桜さん» コメントありがとうごさいます!1つの話で詰め込みたい内容が多すぎて今みたいな感じになっております…。アドバイスいただいた内容を参考にしながら徐々に改善していこうと思います!ご指摘ありがとうございました(´ー`*) (2017年11月26日 1時) (レス) id: 2443de6131 (このIDを非表示/違反報告)
和堂 桜(プロフ) - 内容は魅力的なんですが・・最初の方から、「」以外の説明?みたいなところが文字がつながりすぎて読みにくいです・・。改行?とか空白を多くすると読みやすくなるかと・・すみません!!もったいないなーと思いまして!! (2017年11月25日 20時) (レス) id: 5cbf3e7e7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渡邊 | 作成日時:2017年10月6日 18時