【庭球】平穏に過ごしたいだけ

紳士 ページ13

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前回までのあらすじ。担任とノートを運ぶ→男子生徒とぶつかる(衝突された)→倒れそうになる→誰かに支えられた。以上。隣に先生がいるから先生ではない。じゃあ一体誰？


「危なかった…。お怪我はありませんか？」
「あ、う、うん…。お陰様で。」
「それは良かった。」


支えてくれた人物を見ると、前髪を七三分けにしている眼鏡をかけた男子がいた。なんか紳士ってこんな感じだろうなっていう感じの人。同級生…だよね？なんかどっかで見た事ある気がするけど、忘れた。走ってきた男子を叱り終わった先生がこちらに来た。おぉ、仕事してる。


「すまんなぁ柳生…って、いつまでそうしてるつもりだ？」
「え？あっ、こ、これは失礼しました！」
「いえ、全然気にしてないです。」


まだ私を支えたままだった紳士の手が肩から離れる。落ち着こうとしてるのか眼鏡をくいっとあげ、息をついた。どういう原理がわからんが眼鏡が常に反射か何かしていて目が見えない。どういう事？


「それでは、私はこれで。」
「…ありがとうございます。」
「いえ、礼には及びませんよ。」


スマートに立ち去る紳士を見送り、私と先生も教室へ急ぐ。隣で先生が「俺も人生で一度は言ってみたいもんだな、礼には及びませんって。」とか言ってるもんだから、「今言ったからノルマ達成ですね。」と適当に返した。



＊

その後何事もなく終わり、下校時間になった。部活に行く生徒と真っ直ぐ帰る生徒、ダラダラ残る生徒がいる中、私は図書室の鍵を閉めてさっさと下校した。たまに放課後図書室で少し本を読んで帰るのだが、今日はそんな気分じゃない。リレーで疲れた身体を早く休めよう。お疲れ私。


「ただいま…」


玄関戸を開けて私を迎え入れるのは真っ暗な部屋と静寂。両親は仕事で海外出張に行っており、たまに長期休暇で帰ってくるぐらいなので暫く会っていない。祖父母の家は大阪にあり、呼ばれたら遊びに行っている。

疲れたので夕飯を作る気になれず、冷凍パスタで済ませる事にした。ニュースを見ながら食事をしていると、家の電話が鳴り始めた。


プルルルル…ガチャッ


「もしもし」
「あ、Aちゃん？大阪のおばあちゃんやー。」
「ばあちゃん…久し振り」


電話の主は祖母だった。


「今度の週末遊びに来ぃや。この前のGW来てくれへんかったからなぁ。」
「あー、ごめん。わかった、週末行くよ。」
「楽しみにしとるでぇ。ほな。」


ピッ、プー…プー…



(…いつも急だなばあちゃん)

花好きな美人さん→←災難続き

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