ご飯事情 ページ20
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私はとても驚いている。程なくして料理が届き、メア君のスプーンを取ってあげたら、彼は目を輝かせてオムライスを見ていた。
「こんなに卵を使って…いいのか?セレンファーレンでもこんなに卵を使った料理、見た事ない…!」
「そ、そうなのか?まぁ、結構こういう料理多いよこっちは。家庭でも作れるくらいだし。」
「アンタも、作れるのか?」
「え?まぁここまで美味しいものは作れないけど…。」
ぱくっと一口食べると、とろりとした卵の食感で思わず美味いと呟いた。メア君も一口食べようと端の方を掬い、口に近付ける。
「あちっ」
「出来立てだからね。ふーふーして食べな。」
「…ガキ扱いすんな。」
「私からしたら子どもだよ。いくつなの?」
「…10」
「あ、思ったとおり。」
「は?」
「こっちの話。私と13も違うんならやっぱ子どもだよ。」
「なんかムカつく…」
「いやムカつかれても。」
きっと子ども扱いされるのが気に入らないっていう事なんだろう。この年頃は背伸びしたがるくらいか?中学生の年になると思春期、高校生の年は反抗期くらいだったと思う。なんだかんだ早く食べたいのか、ふーっふーっと食べれるくらいまで冷ましてから口に入れる。特に美味しいも何も言わないが、食べる手は順調に進んでいる。
「いつも飯はお母さん?コックさんか使用人が作ってる?」
「城に就いてるコックが作ってる。」
「ほー。毎日飯美味いんだろうな。」
「…あんま食べてない。」
「なんで?」
「夜更かししてるから昼間は寝てるし…。あと従者が部屋まで料理を持って来たりするけど、キュアランの本読んでる時は気付かないから、たまに下げられたりするし…。」
少し前から普通に「城」って聞いたからただの坊ちゃんではないと思ったが、本当に何者なんだろう。昼間に寝てる事があるという事は学校はないのだろうか?
「10歳で夜更かしは身体に良くないぞー。従者さんも部屋の中まで届ければいいのに。」
「部屋には入れない。入るなって言ってるから。」
「おや、それなら飯を取りに行かないメア君が悪いなぁ。」
「キュアランより大事なものなんてない…。」
「(歪みねぇ…)」
話がひと段落した所でまた食事の手が進む。今更だがメア君がこんなに自分の事を話してくれるとは思わなかった。どこかで心境の変化があったのか。何はともあれ、こっちの方がやりやすくていい。
(ご馳走様でした)
(…悪くなかった)
(素直に美味しかったって言えばいいのに)
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渡邊(プロフ) - 黒狐コハクさん» コメント返信遅くなってしまい申し訳ありませんでした…!応援ありがとうございます!ネタが尽きたらリクエスト募集も考えてますのでお気軽にどうぞ(´ー`*) (2017年10月13日 20時) (レス) id: 2443de6131 (このIDを非表示/違反報告)
渡邊(プロフ) - ((MOE.moena))さん» コメント返信遅くなってしまい申し訳ありませんでした…!応援ありがとうございます!不定期更新にはなってしまいますが、どうぞ見てやって下さい(´ー`*) (2017年10月13日 20時) (レス) id: 2443de6131 (このIDを非表示/違反報告)
黒狐コハク(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!応援してます! (2017年7月24日 15時) (レス) id: 5ba6ab7e8b (このIDを非表示/違反報告)
((MOE.moena))(プロフ) - 面白すぎます!!更新楽しみにしてます!! (2017年7月21日 18時) (レス) id: 96d33f0c34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渡邊 | 作成日時:2017年1月13日 17時