所詮他人 ページ16
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ある程度の服を無理矢理試着してもらい、あのTシャツも含め5着程と下着を買う事になった。いやマジでこのTシャツ買うのか、この子がこれを着るのか。他の服より嬉しそうに見てるのが面白いよ。
「お願いします。」
「ありがとうございます!お会計こちらの金額になります。」
「カードでお願いします。」
会計カウンターを若干背伸びして見ているメア君。そわそわしながらTシャツを待ちわびてるのが店員のお姉さんにも伝わったのか、すごく微笑ましそうな顔をされた。うん、私も微笑ましいと思う。
「弟さんですか?」
「あ、いや、違います。」
「あっ、そうなんですね。息子さん…?」
「…でもないです。」
「し、失礼しました…。」
複雑な事情があると思われたのか、店員さんは少し焦った表情を見せながらカードと買った物を渡してきた。店員さんがメア君に笑顔で手を振ってきたが、メア君は華麗に無視。申し訳ない気持ちになりながら代わりに店員さんに頭を下げ、お店を後にした。
「(まぁ気になるよなぁ。何よりこの髪色、メア君の故郷では気にならない色なんだろうが…)」
「おい…早くここを出たい…。」
「え?あ、あぁ、ごめん。まだ買う物あるから我慢して?」
「はぁ…?何買うんだよ。」
「ご飯の材料と、メア君の歯ブラシとか…」
そうだよ歯ブラシを買い忘れないようにしなきゃと思ったんだよ。食品売り場の方に子ども用の歯ブラシとか置いてある所あるから、そこでまとめて買うとして…あと何が欲しいんだろ?子どもいる家庭の奥さん、教えて下さい。
「あ、本…!」
「本?」
こっちの言葉が読めない彼の為に日本語の本を買ってあげようと思ったんだった。どれくらいの期間かわからないが、ここで生活する上で結構重要な事だ。
「メア君、こっち。」
「なっ……触るな!」
バシッ…!
彼の手を引こうと掴んだ右手は、彼の左手によって弾かれた。
「痛てて…、そんな強く叩かんでも。ごめんって。もう引っ張らんから。ほら、次はあっちの店。」
「……ちっ」
行き先を言えば付いて来てはくれる。さすがに昨日の今日だとそりゃ驚くよな、反省。傷付かなかったかと聞かれれば多少は傷付いたけど、子どもだからと言って配慮が足りなかった自分も悪い。彼は、なるべく私と距離を取りたいと思ってると思う。なんでかはわからないけど、私の勘はよく当たる。勘なんて普通は当てにならんものだろ。
(そんな事を考えてる内に)
(右手の痛みなど、もう忘れた)
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渡邊(プロフ) - 黒狐コハクさん» コメント返信遅くなってしまい申し訳ありませんでした…!応援ありがとうございます!ネタが尽きたらリクエスト募集も考えてますのでお気軽にどうぞ(´ー`*) (2017年10月13日 20時) (レス) id: 2443de6131 (このIDを非表示/違反報告)
渡邊(プロフ) - ((MOE.moena))さん» コメント返信遅くなってしまい申し訳ありませんでした…!応援ありがとうございます!不定期更新にはなってしまいますが、どうぞ見てやって下さい(´ー`*) (2017年10月13日 20時) (レス) id: 2443de6131 (このIDを非表示/違反報告)
黒狐コハク(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!応援してます! (2017年7月24日 15時) (レス) id: 5ba6ab7e8b (このIDを非表示/違反報告)
((MOE.moena))(プロフ) - 面白すぎます!!更新楽しみにしてます!! (2017年7月21日 18時) (レス) id: 96d33f0c34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:渡邊 | 作成日時:2017年1月13日 17時