158 ページ8
・
sm「必要ない」
短く答えればメイベルはその黒い瞳を少し見開いた。
どうやら俺の返答はコイツとしては意外だったようだ。
sm「メイベル。お前は自由とは何だと思う。」
「自由、ですか...。
縛るものが何もない、隔たるものも遮るものも何もない事かと。」
sm「なら、お前の自由は空か」
俺の問いに眉を顰める。
足元に視線を落として考える素振りを見せてから縦にうなずいた。
sm「そうか...なら俺はお前の羽は折る。」
「....彼女はなんと？」
sm「アイツか？アイツの自由は....箱庭だ。」
＿＿＿＿＿＿
na side
白いベッドに体を預ける彼女は規則的なリズムで呼吸を繰り返す。
体中には包帯が巻かれ、腕から伸びる管は点滴へと繋がれている。
透明な袋から一滴ずつ雫が滴るのを見てると、彼女の淹れる紅茶が浮かんで心がまた一つ悲傷に沈む。
もう、1週間もAの声を聞いてない。
どんな長い夢を見てるのか、はたまた現実にうんざりして眠り込んでるのか
俺には分からないけど、Aがどう思おうとも俺はAに会いたいと願う。
br「Nakamuは今日もここで仕事してんの？」
不意に扉を開ける音がして間延びした声が鼓膜を揺らした。
いつぞやと違ってハッキリした色の瞳は半分揶揄うように俺を見て目を細める。
na「どこで仕事しようが進んでればいいだろ？お前みたくサボってねぇからな」
br「え〜、僕だってちゃんと仕事してるでしょ？サボってんのはスマイル...じゃなくて今はシャークんときりやんだよ〜。」
確かにそこは早く実権取り戻さないといけないな。
きりやんは仕方ないけど、シャークんならもう普通に動ける。
やっぱり完治を公表するべきか？
br「んふ」
不意にBroooockが笑みを浮かべる。なんか嫌な笑いだな。
そう思って顔を向ければ、三日月のように目を歪めたBroooockは酷く愉快そうに笑っていた。
...背中がゾッとする。
br「否定しないの？」
na「.......わり、聞いてなかった。もう一回言って。」
br「んもう、ちゃんと聞いてよ〜。まぁいいけどさ〜。」
やれやれ、と言ったようにBroooockは肩を竦めて俺に背を向ける。
na「もう帰んの？」
br「うん。僕はちゃんと仕事できるからね〜シャークんとは違ってさ」
話の流れにある普通の返答が突っかかる。
含みがあるようにしか思えないその理由を問いただす前にBroooockは病室を後にした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 782人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
そらと。(プロフ) - すみれいんさん» 1から読んだら色々ボロが出てくるから読まなくて大丈夫です！笑笑ほんとに全ての内容を忘れたあたりで読み返すことをおすすめします！ (2022年7月8日 10時) (
レス) id: bc516da084 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - そらと。さん» 続編読みました！いいですね、良いですね！少し時間がなく一から読み直されないのが悔やまれますが、いつか読み直したいと思ってます！ (2022年7月6日 13時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
そらと。(プロフ) - すみれいんさん» 読み過ぎですｗｗｗｗ何回読んでも変わらないですからｗ続編楽しみにしててくださいｗ (2022年7月2日 13時) (レス) id: 212d629fae (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - そらと。さん» 50ページの最後が凄く気になりすぎてとりあえず200話だけ2回読みました。ありがとうございます。もう一度1から読んできます！！ (2022年7月2日 12時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
そらと。(プロフ) - すみれいんさん» 読んでいただいてありがとうございます！そしてお疲れ様です！これからも更新頑張りますのでまた見に来てください！！ (2022年6月24日 8時) (レス) @page45 id: bc516da084 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：そらと。
| 作成日時：2022年4月29日 23時
