194 ページ44
・
na「おい、きんときやめろ。」
可愛らしい見た目とは相反した、不機嫌を押しつぶしたような低い声でNakamu様は唸る。
それでも私の胸倉を掴み上げるきんとき様は手の力を緩めたりはしなかった。
kn「じゃあ今までのは虚偽の申告があったってことでいい？」
口の端を釣り上げる彼はどこからどう見ても怒っていた。
自分でもよく分からないけど、彼のこういう態度を見ると笑顔を向けたくなる。
彼の瞳に映る自分が気色悪いほどに嗤笑を浮かべていた。
『いいえ、証言は全て事実です。現に現場の状況と一致していたではありませんか。』
kn「誰かが君に情報を流してる可能性も捨てきれなくなった。故意に何かを隠してることだってあり得る。ほんと、どれだけ馬鹿にしたら気が済むの？」
ギラギラと憤りに満たされた瞳は今すぐにでも私を切り刻まんとしている。
『ﾌﾌｯ、自白剤を飲んだという安心感に支配されて言葉を鵜吞みにしてはいけません。
これではどっちがプラシーボ効果を受けているか分からないじゃないですか。』
na「Aも！なんでそんな煽ることを言うんだよ！」
困惑した表情で声を荒げるNakamu様の言葉が耳に触れる。
なんで、そんなの分からない。この行動原理は理解できない。気付けば自制も忘れてきんとき様に口答えをする自分が居るのだ。
『冷静になりませんか？』
kn「......。」
『よく考えてみてください。薬が効かないってことを自白しました。
本当に嘘を言いたいのであれば私のような小賢しい人間はその事実を伏せるはずです。
今回の尋問に関して私は何一つ嘘を言ってはおりません。』
少し冷静さを取り戻したきんとき様は手の力を緩める。
襟元を戻している最中も鋭い視線が注がれる。
kn「......旧ソロフィアの情報の知ってることはなんで伏せるの？」
『言いたくないからです』
kn「ｯﾊﾊ､俺が誰か知っててその態度を取るのは君くらいだよ」
『それはそれは、お褒めにあずかり大変光栄でございます』
kn「ほんと嫌味な奴だね」
歪めた瞳を私に向けたあと、きんとき様は書類にペンを走らせて執務机の上に放り投げた。
体の向きを変えて机に腰を掛ける彼の目にはどこか愉悦が滲んでいるのがわかる。
kn「じゃあ尋問は終わりで良いから掃除からよろしくね」
『はい？』
kn「今日から1週間、君は俺の専属だから」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 782人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wt」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
そらと。(プロフ) - すみれいんさん» 1から読んだら色々ボロが出てくるから読まなくて大丈夫です！笑笑ほんとに全ての内容を忘れたあたりで読み返すことをおすすめします！ (2022年7月8日 10時) (
レス) id: bc516da084 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - そらと。さん» 続編読みました！いいですね、良いですね！少し時間がなく一から読み直されないのが悔やまれますが、いつか読み直したいと思ってます！ (2022年7月6日 13時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
そらと。(プロフ) - すみれいんさん» 読み過ぎですｗｗｗｗ何回読んでも変わらないですからｗ続編楽しみにしててくださいｗ (2022年7月2日 13時) (レス) id: 212d629fae (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - そらと。さん» 50ページの最後が凄く気になりすぎてとりあえず200話だけ2回読みました。ありがとうございます。もう一度1から読んできます！！ (2022年7月2日 12時) (レス) id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
そらと。(プロフ) - すみれいんさん» 読んでいただいてありがとうございます！そしてお疲れ様です！これからも更新頑張りますのでまた見に来てください！！ (2022年6月24日 8時) (レス) @page45 id: bc516da084 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：そらと。
| 作成日時：2022年4月29日 23時
