59 ページ9
・
演劇でもしてるかのような教科書通りの笑顔。姿勢。仕草。話し方。
Aと名乗る女はまるで普通の人間と会話するような態度で俺を見る。
『顔色が少しだけいいですね。やはりアレは外して正解だった。』
shk「何のことだ」
悪だくみをする子供のような笑みを浮かべるAに問いかけるも
笑顔を静かに向けられるだけだった。
『あとはそのお香をやめると大分有利になるとは思うのですが
それはあまりにもあからさま過ぎる』
shk「おい！」
痺れを切らして一気に彼女に詰め寄る。
ぐっと肩を掴むと細い肩は大きく揺れるも、コイツの瞳は全く揺れなかった。
俺の様子を確かめるようににじり寄られるような感覚に嫌な気を感じる。
『ああ、失礼いたしました。
ちゃんとお話しするのは初めてでしたね。貴方様にお会いできて嬉しいです。』
shk「そういうのいい。Aって言ったよな。
なんかよく分かんないこと言ってたけどあれ何？」
『あらら、釣れないですね。まあ、こちらとしてもあまり時間がないので
そのほうが助かりますが....では、本題に入ります。
シャークん様。貴方様は現状病気ということで治療を受けておりますが
それは真っ赤なでまかせでございます。』
スッと笑顔を失ったAに悪寒を感じた。
これが本来のコイツの顔だと察して同時に安心感も得た。
shk「俺が、病気じゃない？」
『へぇ．．．素直に聞いてくれるのですね。Nakamu様とは大違いだ。』
shk「...Nakamuにも会ったのか？」
すると彼女は少し顔を曇らせて俺から瞳を逸らし、またすぐ戻した。
Nakamuとなんかあったのか？
『まあ、それは今回関係ないので省きます。
信じていただけるのであれば良かったです。単刀直入に言いますと貴方様は私にとって大変都合がいい。そこで、失礼を承知でお願いを申し上げます。』
ふふ、と再び瞳に弧を描いた彼女は、月明かりを半分だけ受けたまま小首を傾げて
『私に、利用されてください』
と静かに言葉を紡いだ。
shk「利用される？なんでそんな」
『WT国を守りたいでしょう？今のままでは長くて３年、早ければ１年でこの国は滅びます。』
やけにハッキリした物言いだった。
その言葉に俺は心の中で苛立ちを覚えて視線を鋭くさせる。
Aの笑顔は変わらない。
それが事実なんだと俺に言い聞かせた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1032人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
そらと。(プロフ) - 仇花さん» 自分で見ると大分稚拙な文章で恥ずかしいですが、、仇花様の様に私の表現を理解してくださる方ばかりで嬉しい限りです😭コメントありがとうございます。また読みにきてくれると嬉しいです！ (2022年4月13日 9時) (
レス) id: bc516da084 (このIDを非表示/違反報告)
仇花 - 文才でしかなくて夜な夜な悶えてます、 (2022年4月13日 3時) (レス) @page21 id: e927d6963f (このIDを非表示/違反報告)
そらと。(プロフ) - ホホ。さん» 失礼なんてとんでもありません！ありがとうございます！！頑張ります！！！！！ (2022年3月27日 8時) (レス) id: bc516da084 (このIDを非表示/違反報告)
ホホ。 - コメント失礼します！この小説めっちゃ好きです‼更新頑張ってください‼応援してます！ (2022年3月26日 21時) (レス) id: c8edcf3e17 (このIDを非表示/違反報告)
そらと。(プロフ) - 夏葵さん» 一気読みお疲れ様です！更新頑張ります！ありがとうございます！！ (2022年3月1日 11時) (レス) id: bc516da084 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：そらと。
| 作成日時：2021年11月13日 0時
