61 ページ11
・
驚くほどに自分の頭の中には何も残ってなかった。
この国の情勢もあいつらのことも、何もかも。
思う浮かぶのは目の前で潰れる家具や人の叫ぶ声。そして滲む視界。
口に流し込まれるものを飲み込んで、また瞳を閉じる。
それだけだった。
何も知らなかった。
.........あぁ、情けねえな。
くしゃっと前髪を掴む。
強く噛んだ奥歯がきしむ音がやけに大きく耳に残る。
shk「！！」
ふと、ひんやりと冷たい指が俺の手に触れた。
掌を滑る指はゆっくりと俺の手を包み込んでぎゅっと握った。
驚いて顔を上げると再び月明かりに照らされたAが俺を見つめていた。
『今から見に行きませんか？貴方様の大事なものが今どうなっているか。』
shk「な、は？今、今って...」
『昼に貴方様が平気な素振りをされては困ります。
貴方様は敵にとって最も付け入りやすい存在です。それと同時に敵の最大の弱点なのです。
決定的な証拠を掴むまで貴方様には壊れたままでいて欲しい。』
shk「....俺演技とか無理だぞ？」
『それは初見でなんとなく分かります』
shk「あ”？おまっ....じゃあどうすんだよ」
『演技しなきゃいいんですよ』
shk「だからそれが無理だって」
『薬を飲み続けるんです』
sh「はあ！？」
やっぱ危ないやつじゃんコイツ。真面目に聞いて損したんだが。
真剣な顔して突拍子もないことを言うAは至極まともなことを言っているような眼をしている。てかいつまで手掴んでんだよ。
『まだ確定ではないのですが
飲み薬の方が幻覚や妄想、凶暴性を引き出す作用があって
お香は倦怠感や判断能力を低下させる作用を引き起こしているの可能性が大きいのです。
なので飲み薬をやめれば人体への影響を大分妨げられます。
お香の効果だけしばらく受けてもらいますが、自然に狂ったフリができるでしょう？』
shk「でもそれって逆だった場合ヤバくないか？
それに可能性の話をするってことはお前別に薬師とかじゃねえんだろ？」
『はい、そうです。
今回偶然知ってる毒草だったのでこうやって危険を取り除けましたが
他のものに関しては全く知識がありません。』
きっぱり言うAに少し落胆をしたが、ここでコイツに会わなかったらと思うと
その後の未来は悲惨なものだろうし、まあ良しとするか。
shk「じゃあ、とりあえずは正確な効能を知りたいってわけか。どうするつもりだ？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1032人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
そらと。(プロフ) - 仇花さん» 自分で見ると大分稚拙な文章で恥ずかしいですが、、仇花様の様に私の表現を理解してくださる方ばかりで嬉しい限りです😭コメントありがとうございます。また読みにきてくれると嬉しいです！ (2022年4月13日 9時) (
レス) id: bc516da084 (このIDを非表示/違反報告)
仇花 - 文才でしかなくて夜な夜な悶えてます、 (2022年4月13日 3時) (レス) @page21 id: e927d6963f (このIDを非表示/違反報告)
そらと。(プロフ) - ホホ。さん» 失礼なんてとんでもありません！ありがとうございます！！頑張ります！！！！！ (2022年3月27日 8時) (レス) id: bc516da084 (このIDを非表示/違反報告)
ホホ。 - コメント失礼します！この小説めっちゃ好きです‼更新頑張ってください‼応援してます！ (2022年3月26日 21時) (レス) id: c8edcf3e17 (このIDを非表示/違反報告)
そらと。(プロフ) - 夏葵さん» 一気読みお疲れ様です！更新頑張ります！ありがとうございます！！ (2022年3月1日 11時) (レス) id: bc516da084 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：そらと。
| 作成日時：2021年11月13日 0時
