クソガキ【ワールドトリガー】 (ページ24)

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クソガキ 22 ページ24

「し…紫苑さん…」

その後私と慶がぼんやりと過ごしていたときのことだった。

「………嗚呼、あの時の…」

私の病室に小さなお客が訪れたのは。

「あ…えっと…太刀川さん…でしたっけ…？」

小さなお客は慶に少しビビっているようで

「出穂、おいで。そこに座りな。」

「し、失礼します」

おずおずと入ってきた。

「珍しいな。あやめさんが年下気に入るなんて。」

「いやぁ、なんか気に入っちゃって…」

出穂は遠慮がちに椅子に腰掛けた。

「どうしたの？昼間と様子が違うように見えるけど」

「紫苑さん……すんません」

「「え？」」

私と慶は素っ頓狂な声を出してしまった。

「アタシ…あの時チカ子助けることに夢中で…全然周りみてなかったっす…紫苑さんがあの時助けてくれなかったら…今頃どうなっていたやら…」

気にしてんのか…

「いいんだよ。私も不注意だったし。出穂は全力だったもん。結果として慶と空閑くんが間に合って私も出穂もあの子…雨取千佳も無事だったんだし、今回は良しとしよう。」

「でも…」

「次からやんなきゃいいの。」

「………そうっすね」

この子のこういう所を気に入ったんだと思う。

よく見ると出穂の目には涙が溜まっていて…

「泣いてんの？」

「!?泣きませんよ!?アタシは…こんなとこで泣いてる場合じゃ…」

言いながらボロボロ泣いてるし…全く手のかかる…

私は出穂をぎゅーっと抱き締めた。

「うわぁーん！」

「よしよし。怖かったな。」

急に未知の敵が攻めてきて、友達が攫われかけて、知り合いが死にかけたのだ。そりゃ怖かっただろう。

この子は正常だ。

異常なのは、私たち大人の方だ。

嗚呼、純粋だな…

出穂の涙で私の荒んだ心が浄化されるような気分になった。