クソガキ【ワールドトリガー】 (ページ17)

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クソガキ 15 ページ17

三雲side
走れ。止まるな僕。

千佳のためにも、僕は逃げ切らなきゃいけない。

深い霧の中僕の目は何故か冴えていた。

「諦めなさい、悪あがきは嫌いなの。」

何度ワープ女に行く手を阻まれても、僕は諦めない。

「オサム、ここはダメだ。外に出よう。」

半分になってしまったレプリカの声で焦っていた僕の心は冷静さを取り戻した。

「嗚呼。」

出水先輩が…烏丸先輩が…そして三輪先輩が僕を助けてくれた。僕が今やるべきことは…千佳を本部まで守り抜くこと。

僕はトリオンキューブを抱え直し、民家を飛び出した。

「まだ逃げるのね。」

不敵な笑みを浮かべ、ワープ女が僕のゆく先々に現れる。

「っ…」

逃げなきゃ…

次の瞬間

ズドンッ

僕の目に映っていたのは

外国の神話に出てくるような死神の鎌と

紫色の目を怪しげに光らせた

黒いマントの人。

「………三雲…だったよね？」

その人は僕の前に立った。

「……………大変そうね。…………気が変わった。助けてあげる。」

「厄介ね…黒トリガー使いかしら…？」

不穏な風が吹いて、マントの人のフードが外れ、素顔が顕になる。

「……………………!?」

そこにあったのは…

メガネをしていないが、それが紫苑さんであることは分かった。

「『我の使徒に闇の加護を』……」

その瞬間、僕は一瞬だけ深い闇に包まれた。

「行くよ！」

紫苑さんは僕の手を掴み、呆然としているワープ女を後目に走り出した。