甘く、苦く (ページ37)

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安田サイド

「しょーちゃん」

安田「ん？」

俺の言葉を聞いて、俺の胸に顔を押し付けながら黙ってしまったA

焦らすのも嫌やったからAの背中を擦りながらゆっくり待って

落ち着いて顔を上げたAはもう泣いてなかった

このままもう大丈夫や言うて何も聞けず終わっちゃうんかな

やっぱり悲しくなって泣きそうになってまうのを堪えて優しい顔でAを見る

けど、何年も一緒にいるAには我慢もバレてて

「しょーちゃんそんな顔しないで。大丈夫、あのね、嫌な夢見たの。残業して疲れて帰ったら家に女の人としょーちゃんが居て、家から追い出されちゃう夢」

俺の頬を両手で包むと困ったように、また泣きそうになりながらさっきの涙の理由を話してくれた

なんやねんそれ。

なんや、もっと深刻な話やと思って身構えたのに

「ごめんね？夢だとはいえ、しんどくなっちゃって気付いたらしょーちゃんに引っ付いてて、けど夢だとはいえこんな夢見たって言われたらしょーちゃん傷付いちゃうかなって思って言えなかった。」

申し訳なさそうな顔でそう言ったAに思わずチュッと軽いキスを落とす

謝る事なんて何もないのに。むしろ俺が悪いやんそれ。それに、嫉妬してくれてたんやろ？夢やとはいえ、その女に。

普段なんっも気にしてへんAがそう思ってるって知っただけで嬉しくなってまう俺はアホなんかな

安田「夢ん中の俺、最低やな。ごめんな？本物の俺はAが泣いてるだけでこっちまで泣きそうになるし、夢の中やのに嫉妬してくれてるAに嬉しくなってまうほどAのこと好きやねんから心配要らんで？」

キスされて驚いてるAのおでこに自分のおでこをくっ付ける

俺が笑うとAも笑うから

安田「好きやで？好きで好きでどうしようも無いくらい好き。Aおらんと俺、死んじゃうもん」

「大袈裟 (笑)」

安田「大袈裟ちゃうわ」

少し拗ねたようにすると、Aは「しょーちゃん」ってA特有の呼び方で俺の名前を呼んだ