晴れの日の雨* (smkin) ページ5
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気持ちのいい快晴の日だった。
こんな日はいいことがあったらいいな、なんて思いながらコンビニへ出かけた。
特に予定もない、ただ天気のいい日。
...だった。
コンビニのレジ袋を提げながら自宅に帰ってきたら、居るはずのない奴の姿がドア前に。
sm「きんとき...?」
kin「...すま...いる...っ...」
ドア前に座り込んで蹲っているだけで嫌な想像をしてしまったが、当然それは杞憂じゃなかったらしい。
人の家の前で泣いてる奴になんの事情もない訳がない。
sm「ちょっと待ってろ...開けるから、中入って話聞かせろ」
kin「ごめ...っ...」
sm「謝んな。平気だから」
kin「ありがと...」
7年一緒に居て、メンバーの泣いている姿なんて滅多に見た事がない。
見たとしても感動の涙くらいで、こんな本当の涙は当然初めてだ。
そんなメンバーの1人が何も無い日に訪ねてくるってことは相当な事情があるんだろう。
sm「泣き止むまで何も聞かないから、今は好きなだけ泣け」
kin「っ...ぅ...ぁ゙...」
声を上げて泣くことはなかったが、自分の膝を抱えて静かに泣いていた。
今日は晴天だったが、なんだか雨模様に感じてしまう。
篭った嗚咽が、静かな部屋を数分包んだ後、彼は顔を上げた。
kin「ごめん、スマイル...」
sm「謝んなって言ったろ。別に困ってないし」
kin「いや、でも...」
sm「なら代わりに何があったか聞かせろよ。なんでそんな泣いてたんだよ」
逡巡の末、きんときは覚悟を決めた様に話し出した。
kin「...引かないって、約束して」
sm「勿論」
kin「俺さ...彼氏がいたんだよ。いわゆる、同性愛者ってやつ」
sm「っ...!そうか。それで?」
kin「...浮気、された...」
言葉に詰まりながら、涙を堪えながら、一言ずつ伝えてくれた。
kin「俺、友達に、その人との恋愛相談、聞いてもらってて...」
sm「うん」
kin「共通の友達で、仲良かったから、すっげぇ信頼してたの...」
sm「うん」
kin「俺の彼氏も、その友達に、俺との事相談してたらしくて...」
ここで何となく理解した。
kin「彼氏と、その子が...浮気してた...っ」
だろうな...
相談役ってなんでか良く見えるからな。
sm「それで俺ん家に来たの?」
kin「...ごめん」
sm「怒ってるんじゃないよ。なんで俺なの?」
kin「わかんない...けど...近いわけでもないのに、勝手に...来てたんだよ...」
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