ソーサー* (kir→nkm→kin) ページ30
side kir
知っていた。
なかむがきんときを好きなことを。
知っていた。
きんときはスマイルが好きなことを。
知られていない。
俺がなかむを好きなことだけは。
nkm「はー、ほんと、やになっちゃうわ」
kir「大変そうだなお前」
nkm「大変だよ...わかってたけどね?」
俺も、こうなるだろうとはわかっていた。
でもいいのだ。
望んでここにいる。
相談役と言うのは存外勝ちやすいらしいから。
nkm「...きりやん」
kir「なに」
nkm「っ...」
俺はずるいし、最低な人間だ。
嬉しそうにきんときのことを話すなかむを見るのは嫌だった。
なかむが泣くのを嬉しいと思う。
胸に抱きとめた背中を摩ってやれば、行き場に悩んでいた腕が俺の背中に回った。
nkm「俺、好きだったのにっ...」
kir「知ってる」
nkm「おれのほうがすきだし!!」
kir「うん」
nkm「おれっ...俺だって...っ、きんときの隣にいたかったっ...」
あぁ痛い。
素直で鋭い本音。
ずるい俺を咎めるような、鋭利な棘が胸を刺す。
でもこの痛みが嬉しいのだ。
紅茶を注ぐティーカップに、ソーサーが必要な様に。
カップから零れてしまう涙はソーサーが受け止めるだけだ。
kir「辛かったね」
nkm「きりやっ...ゔ〜...っ...」
kir「泣いていいよ。俺がいるからさ」
茶会の主役は紅茶だ。
紅茶を入れるカップやポットは脇役に過ぎない。
さらに脇役のカトラリーが、カップの傍に居たって誰も何も言わないだろう?
kir「俺はさ、ずっとなかむのこと見てたからわかるよ」
注いできた恋心をひっくり返したような涙。
kir「いっぱい頑張っていっぱい我慢してきたんだよね」
甘いだけではない紅茶。
kir「俺はなかむのこと、一番好きな自信あるよ」
腕の中で漏れる嗚咽が止まる。
kir「だからさ、早く立ち直って俺の事見てよ」
これは、最低でずるい俺の、精一杯のカッコつけだ。
kir「ずっと待ってるからさ」
nkm「わかった...」
kir「ん。泣いてるのも可愛かったけど、やっぱなかむは笑顔が1番可愛いよ」
nkm「はぁ?!」
前言撤回。
照れてる顔の方がもっと可愛い。
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続きものはいいぞ委員会会長です。
sm受けとnkm受けが無かったので書きましたが逆cpなので難しかった...
sm受け特にムズいのでリクエストない限りはつららは書かないでしょうね...
#一緒に(kin×br)→←ダージリン* (nkm→kinsm)
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