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1話 想起 ページ2
酒呑童子視点
洞潔が消滅し、天野ナツメから朱夏様の存在が消えた今、人間界にとどまる目的は無くなった。
だが、何故だろう。妖魔界での暮らしに戻る気にはなれない。人間界の生活にすっかり慣れてしまった。死の間際、洞潔が言っていたように、人間界のぬるま湯に浸かりすぎていたのは俺の方だったというのか。
……思えば、妖魔界ではお互いを蹴落としあっての権力争いばかりしていた。他者への信頼はおろか、関心すら微塵もなかった。以前の俺ならば、その方が性にあっていた。自分の野望のため、簡単に配下を斬り捨てることだってできたはずだ。
俺が変わってしまったのは、人間界に来てから….いや、妖怪探偵団に出会ってからだろうか。妖怪と人間が手を取り合い、お互いを思いやってる姿を幾度となく目にしたからか…そんな関係も悪くないと思ってしまったんだ。
……なんて、今気づいたところでフクロウや洞潔は戻ってこない。もう少し大事にしてやるべきだったか…？
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作者名：日向（ひゅうが） | 作成日時：2023年3月29日 8時
