Episode194 ページ45
Aside
データから、私の名前が消えた。太刀川隊は、太刀川慶、出水公平、烏丸京介、国近柚宇の四人。けれどそれで終わりではない。
「本当にいいのか」
「はい。今ここにいても、私にできることは何もないし」
「防衛任務のシフトのみから外すことも可能だと何度も言っただろう」
目の前にいるのは、椅子に座った城戸さん。
私がこの部屋に来た理由は、ボーダーをお休みしたいという意思を告げるため。いわゆる休暇届だ。今はとにかく離れることが必要だと自分で判断した。
「休暇すればトリガーを没収することになる。斬れないと言うなら任務を外れるだけでも十分だろう」
「もういいじゃないですか」
休暇すると言ったら、城戸さんは引き止めてくれた。それは確かに嬉しいことだ。
「城戸さんにとってもこの方が都合いいでしょ」
「……」
けれど、素直に喜べない自分がいた。
それはきっと自分が大人になったからだろう。単に城戸さんが私のことを「組織に必要な存在だ」「お前の戦力が欲しい」と思って引き止めてくれているのなら、それは嬉しいことだ。でも、違うことを私は分かってしまっているから。城戸さんが私を引き止めるのは、休暇したままボーダーに戻ってくることなく辞めてしまうことを恐れているからだろう。
ではなぜ私が辞めることを恐れているのか。
私が上にとって必要な『情報』を持っているからだ。城戸さんは、遠征で得たそれを持ったまま私が一般人になることを認めないだろう。そしてそれのことを一番知っている人物が私である以上、記憶封印措置は使えない。
「……今、遠征艇にベイルアウト機能を搭載するために開発室が動いている」
「……そうなんですか」
「此度の遠征の結果を受けて、判断したことだ。もう少し前から動いておくべきだった。……すまなかった」
「なんで城戸さんが謝るんですか。全部、私が招いたことですから」
「……遠征で何があった、亜桜」
私のような子供が、自分の組織で大怪我を負ったことに、城戸さんが責任を感じていることは確かだろう。そして子供である私に何が起こったのかと心配してくれる気持ちも、嘘ではないはずだ。でも同じくらいに私が遠征から持ち帰ったものは何なのか明らかにしたい気持ちも感じ取ってしまう。そして多分隠そうと思えば隠せるのに、敢えて私が勘づくくらいのレベルで探りを入れてくる。
「別に何もないですよ」
それだけ言って私は部屋をあとにした。
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亜桜(プロフ) - サクラさん» はじめまして、コメントありがとう御座います！！すごく嬉しいです……！こちらこそ数ある作品の中から見つけて下さりありがとうございました！ (2022年5月29日 1時) (
レス) id: 8ae19fe800 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - はじめまして！作品一気に読ませていただきました。後半ボロ泣きしながら読みました。素敵な作品をありがとうございます！ (2022年5月24日 1時) (レス) @page50 id: 99a13ff01b (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - ペコの助さん» こんばんは、コメントありがとうございます！お言葉だけで大変光栄です。ありがとうございます。そしてご指摘大変助かります！見落としておりました;;なおしてきます！ (2022年2月8日 2時) (レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
ペコの助(プロフ) - 最後に非常に申し訳ないのですが、（親友）の場所が（旧友）になっていて変換ができていません。意図的でしたらすみません。頑張ってください！ (2022年2月8日 2時) (レス) id: 28c825c318 (このIDを非表示/違反報告)
ペコの助(プロフ) - こんばんは！つい先日、この作品に出会ってから一気に読み進めてしまいました。心理描写諸々、とても素敵で何回も読んでいます。本当は単行本、購入したいのですがまだ、親の目があり難しくとても悲しいです....。これからも応援しております！ (2022年2月8日 1時) (レス) @page50 id: 28c825c318 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜桜 | 作成日時：2019年2月10日 13時
