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Episode180 心の行方 ページ31

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到着した時に繰り広げられていたのは、圧倒的10ー0の試合。それも一本では終わらない。ギャラリーもかなり集まっていて、オレと京介はその奥からパネルと画面を見上げた。


「A先輩……」
「どうしちまったんだよ」


あんなにランク戦が好きだったお前は、どこだ。


  *


つい最近、犬飼と模擬戦をやっているところを見かけた。A級ニ位アタッカーともあろう者が犬飼に手も足も出ておらず、酷い光景だった。


「大丈夫かな、亜桜ちゃん」
 

隣で俺と同じ黒い隊服を着た犬飼が、ぼそりと呟いた。前なら太刀川の野郎からもっと取れていただろう、亜桜Aという女は。


「……チッ」
 

ただ斬られるだけの光景を見るのはつまらなかった。


  *


「何を考えてるんだ、太刀川は」
 

風間さんがその言葉を落とした。僕はパネルの『亜桜』を見つめて目を細めた。


『私は、……もう何も聴こえないよ』
 

それがずっと僕の耳から離れなくて、あの弱々しい声や顔が、変に記憶に残っていて。


「あんな亜桜ちゃん、初めて見る……」
 

宇佐美先輩が辛そうな顔をしていた。


  *


このクソつまらない試合は何だ。何であいつは反撃しない、前までなら俺が遊び相手を見つけたと思えるくらいの実力はあったのに。


「あれって、太刀川隊の……」
「ちげー」
「……?」
 

ギャラリーの言葉に、反応してしまう。


「あんなのは、あいつじゃねー」
 

今あそこでランク戦をやっているのは、亜桜Aなんかじゃない。


『悪いけどまだカゲ先輩には負けないよーだ』


俺は、まだお前に勝ち越していないのに。


  *


見えていても、自分には何も出来ない。


この先だって複数見えているが、ここからはおれの仕事ではない。太刀川隊が決めることだ、彼らが選ぶ未来だ。そのパターンが見えているだけで、おれの出来ることは何も無い。


「……ごめんな、太刀川隊」
 

おれはランク戦ブースをあとにした。


  *


ただ、それを見ていた。一人で。私は戦闘員ではないのでランク戦に介入することはできないし、たとえフィールドの外であったとしても、あの二人の仲に割行って話をする勇気なんて、ない。


タタンッ


「……!」


不意に私の目の前を、一人の少年が駆けていく。


「国近先輩!」


そしてそれに続くようにこちらに来たとりまるくんが私の名前を呼んで、そしたら私の体も自然と動いた。そのまま個室へと駆ける二人についていくように、走り出す。そうだよね、見ているだけなんて、嫌だよね。私達五人で太刀川隊だよね。……出水くん。

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亜桜(プロフ) - サクラさん» はじめまして、コメントありがとう御座います!!すごく嬉しいです……!こちらこそ数ある作品の中から見つけて下さりありがとうございました! (2022年5月29日 1時) (レス) id: 8ae19fe800 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - はじめまして!作品一気に読ませていただきました。後半ボロ泣きしながら読みました。素敵な作品をありがとうございます! (2022年5月24日 1時) (レス) @page50 id: 99a13ff01b (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - ペコの助さん» こんばんは、コメントありがとうございます!お言葉だけで大変光栄です。ありがとうございます。そしてご指摘大変助かります!見落としておりました;;なおしてきます! (2022年2月8日 2時) (レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
ペコの助(プロフ) - 最後に非常に申し訳ないのですが、(親友)の場所が(旧友)になっていて変換ができていません。意図的でしたらすみません。頑張ってください! (2022年2月8日 2時) (レス) id: 28c825c318 (このIDを非表示/違反報告)
ペコの助(プロフ) - こんばんは!つい先日、この作品に出会ってから一気に読み進めてしまいました。心理描写諸々、とても素敵で何回も読んでいます。本当は単行本、購入したいのですがまだ、親の目があり難しくとても悲しいです....。これからも応援しております! (2022年2月8日 1時) (レス) @page50 id: 28c825c318 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:亜桜 | 作成日時:2019年2月10日 13時

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