Episode166 ページ17
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そうか、そうだったのか。あの時おれを救ってくれたあの子は、彼女だったのか。そして彼女は、何年経ってもおれに同じことを言ってくれるのか。
「………そっか」
他人の人生まで、背負う必要はない。おれはずっと誰かにそう言って欲しかったのかもしれない。実際には色々な人が言ってくれていたのだけれど、結局他人事だから言えるのだろう、なんて思っていた。
あんたたちがいざ、自分の未来を見られていて、納得の行かない結果に導かれたら……
そうやって当事者になったら、みんなおれのせいにするのだろう。そう思っていたから。そうしない人をずっと待ってたのかもしれない。
Aちゃんは、そうしない人だった。
「だから……もううちの親に謝るとかやめてくださいね」
それもバレてたか、とおれは彼女に感服した。
「はは、適わないなー」
こんな、未来見えていなかった。久しぶりに、こんなに予知から外れた。想定外の展開と言うものを久しぶりに味わって、それを二歳年下の中学生の女の子がやってのけたのかと思うとまた笑えてくる。彼女は、きっとこの先もおれを責めない。まだ彼女を傷つけるのはここで終わりじゃないのに、それだけは分かった。どうせなら責めてほしいと思うほど、この先もおれの罪悪感は募っていくのに。どんな悪役にもなるつもりだったのだ。これから君を待っている未来を幸せなものにできなかったから、いつも嬉しそうにおれの名前を呼んでくれるその声をもう訊けなくてもいいと思っていた。そんなおれを、君はまた救ってくれるのか。
「Aちゃん」
おれを救ってくれた彼女に、おれがあげられるものが何も無いのがどうしようもなく辛い。してあげられることが何も無いのがもどかしい。ただ、試練に立ち向かわせることしかできないなんて。君はこれからもっと辛い目に遭うだろう。ここから多くの試練が待ち受けているだろう。そのときおれは君の味方になってあげることはできないだろうけれど、それでも最後に君が笑顔になれることを約束しよう。険しい道のりだったとしても、結末は必ず光り輝くものになる。なんとしてもおれがその未来へ導くよ。
「？はい」
緑色の瞳が、茶色い前髪の間からおれを捉えていた。
「ありがとう」
滲みそうになる視界の中で、彼女の姿は優しくおれの瞳に映っていた。
「……謝ったりお礼を言ったり、忙しい人ですね、迅さん」
花が咲いたようなこの笑顔を、守りたいと思った。
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亜桜(プロフ) - サクラさん» はじめまして、コメントありがとう御座います！！すごく嬉しいです……！こちらこそ数ある作品の中から見つけて下さりありがとうございました！ (2022年5月29日 1時) (
レス) id: 8ae19fe800 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - はじめまして！作品一気に読ませていただきました。後半ボロ泣きしながら読みました。素敵な作品をありがとうございます！ (2022年5月24日 1時) (レス) @page50 id: 99a13ff01b (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - ペコの助さん» こんばんは、コメントありがとうございます！お言葉だけで大変光栄です。ありがとうございます。そしてご指摘大変助かります！見落としておりました;;なおしてきます！ (2022年2月8日 2時) (レス) id: 4e05bff474 (このIDを非表示/違反報告)
ペコの助(プロフ) - 最後に非常に申し訳ないのですが、（親友）の場所が（旧友）になっていて変換ができていません。意図的でしたらすみません。頑張ってください！ (2022年2月8日 2時) (レス) id: 28c825c318 (このIDを非表示/違反報告)
ペコの助(プロフ) - こんばんは！つい先日、この作品に出会ってから一気に読み進めてしまいました。心理描写諸々、とても素敵で何回も読んでいます。本当は単行本、購入したいのですがまだ、親の目があり難しくとても悲しいです....。これからも応援しております！ (2022年2月8日 1時) (レス) @page50 id: 28c825c318 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜桜 | 作成日時：2019年2月10日 13時
