Episode137 ページ38
.
「迅さん」
『、Aちゃん？良かった無事で』
『A！』
迅さんの声と同時に出水の声が訊こえた。次はここだ。ここにも厄介なものが視えている。今崖の上には迅さんと東さん、出水、そしてＡ級ニ位チームの戦闘員二人が居て、敵は人型ネイバーが二人。今のままならプラン通りに遠征未経験者たちを船に戻してやれるかもしれないが、現実はそう甘くはないと言わんばかりの事態が迫っている。
「トリオン兵の群れがそっちに行ってるっぽいです」
『あー。やっぱそう来たか』
迅さんには未来予知のサイドエフェクトがある。この状況も、他にもいくつものパターンが見えていたのだろうか。私にとっては全くの予想外でも、迅さんには。
『その群れって結構な数？』
冷たく感じるはずのない大雨に、酷く寒いと感じさせられた。
―――迅side―――
『そうですね……。多分、出水たちにはこのまま残ってもらわないと厳しいと思います』
おれの問いに対して、彼女はそう答えた。彼女がそう言うのなら、事前に練っていたように遠征未経験組を安全な場所に返してやることはできない。そうなると遠征艇未経験組三人を、今ここに残っているおれと東さんの二人でサポートしながら戦わなければならない。……叶うことなら、おれはAちゃんのいる崖の下に行ってやりたかった。だが、この状況で崖の下に行くことは出来ない。むしろおれと東さんで遠征未経験組三人をカバーしながらトリオン兵の群れと人型ニ体を相手するのはなかなかハードなくらいだ。
「そっか、了解」
おれは通信を切って、目の前の人型ネイバーを見つめた。危なっかしいAちゃんの不穏な未来が消えない。いつどう戦況が転ぶかで、彼女の未来は天と地ほどの差を生む。正直気が気じゃない、……けれど、おれは今対峙しているこの敵に集中するしかない状況だった。
「フィデス何やってんだ、さっさと上がってこいよ」
「おい、当初の目的を忘れたのか？」
敵も通信機のようなものを持っているようで、目の前の二人が別のネイバーに向かって何か話していた。フィデスって、さっきAちゃんに斬りかかったネイバーの名前か？今のところ登場している人型ネイバーはこの二人と崖の下……太刀川さんとAちゃんの方にいる女のネイバーだけなので、おそらくこの推測は間違っていないだろう。
「チッ無視かよ」
「全く……」
どうやら応答がなかったらしく、敵はため息をついた。そんなことよりもおれは引っかかる発言があり、つい敵に声をかけてしまう。
「当初の目的、って？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 371人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
亜桜(プロフ) - 緋色さん» ありがとうございます(；▽；)更新頑張ります！ (2019年1月21日 19時) (
レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
緋色 - 続きが気になりすぎる！！！面白すぎてヤバイです！！更新頑張ってください！応援してます！！！！ (2019年1月20日 21時) (レス) id: 076cc2dab4 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - twice MOMO，loveさん» 長編にも関わらず全て読んでいただけて本当に嬉しいです(；ω；) できる限り定期的に更新していきたいと思います！ (2018年12月11日 11時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
twice MOMO,love - とても面白いですっ！ いっきにすべてのお話し読みおわってしまいましたッ！ これからも頑張ってください！( v^-゜)♪更新お待ちしています！ 長文ひつれいしました (2018年12月10日 17時) (レス) id: cfa0ae033f (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - アヤカさん» ありがとうございます！！( ；∀；)がんばります！！ (2018年11月25日 12時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：亜桜 | 作成日時：2018年10月8日 12時
