Episode141 ページ42
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ネイバーとしての奈那のことなど、何一つ分からなかった。けれど、私が今すべきことは、たった一つだ。
「ーー奈那、」
「だから奈那じゃないってば」
「逃げて」
私が見つめると、そいつは不満そうな顔をして「私の話訊いてた？」と零した。
「今ここであんたが去れば私は上の二人のネイバーにそれを伝えて兵を引いてもらう」
それで私たちボーダーは自分の国に帰る、と私は加えた。私だって冗談でも何でもなく本気だ。人型との戦闘になった以上、これ以上こちらの世界に滞在するのは危険だ。敵が引いてくれれば私達遠征部隊も船に戻り、そのまま自分たちの世界へ帰るだろう。
「私は、奈那と戦いたくない……っ」
声になっていたか、分からなかった。
「……」
奈那は、黙ったままだった。戦いたくないという本心を漏らした私は、武器を手にすることもせずそいつを見つめていて。そいつは剣を握る手にぎゅっと力を入れてその場に留まっていた。
「ーーA、」
「フィデス」
そいつが私の名前を呼んだ時、奈那の背後から男の声がして、彼女は振り返った。私もそちらに目をやると、数人の人型の集団。全員トリガー使いで、奈那と同じ服を着ている。まだ仲間が居たのか？しかし仲間と言うにはあまりにも冷たい視線で、男は奈那を見ている。対する奈那も「何の用」と鋭い声で一言発するだけで、私と太刀川隊のような信頼関係が見えることはなかった。きっと、私達と同じ『仲間』ではない。
「お前を始末しに来た」
「最近のお前の行動は見過ごせねーんだよ、命令違反ばっかりしやがって」
「組織には忠実な犬しかいらない」
思いもよらぬ言葉に、息を呑んだ。人型ネイバーが、同じく人型ネイバーである奈那のことを始末すると吐かしたのだ。初めに声をかけた黒髪の男と、彼とは別の飄々とした男がそれぞれ奈那に言葉を投げる。この組織は、味方であっても躊躇なく殺すような集団なのか、そして奈那はその組織の命令に背いているのか？私は奈那のネイバーとしての人生を何一つ知らなかったが、それでもたった一つだけ確かな思いがあった。
「何勝手に話してるわけ。こいつの相手は私」
こんな連中に、奈那の命はやれない。だから私は口を開いた。奈那と決着をつけるのは私、邪魔をするやつは私が消す。
「へーえ？」
飄々とした茶髪の男が楽しそうな笑みを浮かべた。
「なら、」
次に黒髪の真面目そうな男が口を開いて、私と奈那の方に剣先を向ける。シュッと風を切る音がした。
「お前達、ここで殺し合え」
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亜桜(プロフ) - 緋色さん» ありがとうございます(；▽；)更新頑張ります！ (2019年1月21日 19時) (
レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
緋色 - 続きが気になりすぎる！！！面白すぎてヤバイです！！更新頑張ってください！応援してます！！！！ (2019年1月20日 21時) (レス) id: 076cc2dab4 (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - twice MOMO，loveさん» 長編にも関わらず全て読んでいただけて本当に嬉しいです(；ω；) できる限り定期的に更新していきたいと思います！ (2018年12月11日 11時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
twice MOMO,love - とても面白いですっ！ いっきにすべてのお話し読みおわってしまいましたッ！ これからも頑張ってください！( v^-゜)♪更新お待ちしています！ 長文ひつれいしました (2018年12月10日 17時) (レス) id: cfa0ae033f (このIDを非表示/違反報告)
亜桜(プロフ) - アヤカさん» ありがとうございます！！( ；∀；)がんばります！！ (2018年11月25日 12時) (レス) id: 69aa40c811 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜桜 | 作成日時：2018年10月8日 12時
