【WT】サンデーローストをご一緒に

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広大な緑の丘陵地帯を縁取る青い森、遠方に連なる白い山峰、果てしなく宇宙まで突き抜けた青い空───

　“とある”王国の城壁の外、ここは領主である貴族様の食卓を支えるために働く農村。農民たちが住まう小さな家々からさらにすこし離れた小高い丘に、その領主一族のお屋敷はありました。


　そこが化け物の巣窟だなんて、誰も知りません。





［サンデーローストをご一緒に］





『神よ、この魂をあなたの手にゆだねます』


　十字架の祭壇に向かって膝をつき、Aはブルブルと震える手で短剣を自らの喉に立てた。

『どうかこの苦しみが、これでおわりますように』

　短剣の切っ先から柄を握る手に響く声が止むと、Aは蒼白の顔をギュッと丸めて前に倒れ込んだ。
　喉に当てた短剣に体重がかかれば、薄い皮膚などひとたまりもなく貫いてしまう。

　とくん、とくんと心臓の鼓動に合わせて石床に広がっていく血溜まりの中で、Aは暗転していく意識を手放した。

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