【WT】ペーパー・ムーン【メモ帳】 (ページ47)

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nk「2人きりで水族館はデートだろ。ねぇA？それよりさ、俺とデザートビュッフェ行かない？」

kn「いやそれもデートの誘いなんだよな。あ、これ良かったら貰って？ピアスなんだけど、Aに似合うと思って買っちゃった」

kr「Aいつもお弁当手作りだよね、俺も料理するから教えて欲しいな〜」

sh「てか場所変えね？そろそろ日陰無くなってきてんじゃん。Aが日焼けする」

sm「A次の講義同じだしさぁ一緒に行こ。カバン重くない？俺持つよ？」

br「ねぇ〜〜〜Aは僕と話してんの！みんな解散！」

目の前でBroooockを真ん中に立っているのはきんときとスマイル。私の左隣にNakamu、右隣にきりやんが座り、ベンチの後ろからはシャークんが覗き込んでいる。

これがモテ期ってやつかぁ。まあ、遊ばれてないのならね。

私を囲む顔の良い男6人。たぶん性格も良い方だとは思う。……良いかなぁ？ 6人のうち何人かは誰と付き合ってただとか誰と別れただとかのウワサくらいは聞いているんだよなぁ。

今なら私が前に片思いしてた男の子の気持ちがわかる気がした。「私で遊んで反応を楽しんでるんでしょ」って。じゃなきゃ、こんなあからさまにアピールされる事なんてある？ないでしょ。

虚無のまま味のしない厚焼き卵を口に放り込む。シャークんの言う通り、太陽が真上にあるせいで、そろそろ日陰から膝下が出てしまっている。
日焼けは嫌だけど、6人に囲まれたままキャンパス内を歩き回る方がもっと嫌。

前は私だって恋愛を楽しんでガツガツしてたけど、今はそんな気分じゃない。資格試験もあるし、就活もあるし、卒論もある。恋愛に割ける時間なんてどこにあるんだか。
目の前の6人だって同じはずなのに。

nk「Aってさぁ、1年の時みたいなキラキラオーラ消えたよね」

『はっ倒すぞ』

nk「いや悪い意味じゃなくて！大人の余裕って感じってことだよ！」

『ふーん』

キラキラオーラ。そうだね、私自身だいぶスレたと思うよ。やさぐれてるって感じ。
行き過ぎた自暴自棄でもあるし、せっかく口説いて頂いて申し訳ないけど、彼らにときめく事ができないほど恋愛に対してダメージが蓄積してるんだなって実感して悲しいのもある。

まあ、そんなこと言ったってどうにもならない。

飲みきって空になった野菜ジュースのストローを虚しく吸いながら紙パックを潰して、白いごはんを残したお弁当箱に蓋をする。

『あのさ、そろそろ飽きたら？』