【WT】ペーパー・ムーン【メモ帳】 (ページ30)

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kr「……知らない天井だ、ってか？」

sh「いや、マジでドコ」

目を覚ますと、カーテンに仕切られたベッドで点滴に繋がれていた。
目を開けるなり横に居たきりやんが茶化してきたからこそパニックまでには至らなかったが、シャークんは混乱した頭で天井からぶら下がるカーテンレールを見回す事しかできない。

kr「いやお前さぁ、マジこっちがビビったかんね？スタジオでぶっ倒れたんよ、覚えてる？」

sh「は？いや、全っっったく。……え、ナニここ病院？嘘、……ごめん」

kr「とりあえずもうちょい寝てて。俺きんときとAちゃんに電話してくっから」

sh「え、なんでA？来てんの？」

kr「来たけど追い返されたんだってさ。ここ救急外来なんだけど、本当は親族以外面会通せないんだって。ンま俺はね、シャークんにくっついて救急車乗ったから付き添いできてんだけど」

sh「……救急車？まじか、……え、本当ごめん」

kr「ま〜謝んなら次気を付けなよ。とりあえずここじゃ携帯使えねぇから。……とにかく、思ったより元気そうで安心したわ」

きりやんが立ち上がると、安っぽいパイプ椅子の軋んだ音がカーテンの仕切りの中に響く。そのままきりやんはカーテンを抜けてどこかへ行ってしまった。
きりやんが出て行く瞬間だけ、クリーム色の影に覆われた薄暗い間仕切りの中に光が差す。時間は分からないが、電灯とは違う明るさを見る限り、まだ日は高いらしい。

sh「……Aに心配させちまったな」

点滴に繋がれて無い方の腕を目の上に乗せて、深くため息をついた。

***

『なにこれ』

1ヶ月近く振りに入った、シャークんの家。まぁ、元々一緒に住んでいたから自分の家でもあるのかもしれないけど。
シャークんが1人で暮らした分だけどうなっているかは知らなかったが、思ったより目に見えて荒れている訳でもなかった。

それでも、ひどく片付きすぎたキッチンや分別されたゴミ袋に透けて見える物を見て、Aは言葉を失う。

『お酒とエナドリの缶ばっか。……え、シャークんこんなものばっか飲む人じゃなかったのに、……てか、何？栄養食しかストックしてないの？』

kn「あー、うん。こりゃヤベーわ」

一人暮らしにしては掃除の行き届いた小綺麗な部屋だからこそ、ケースで買われたエナジードリンクや、整然と並ぶ栄養食バーの箱はきんときの目にも異質に映るらしい。