【WT】ペーパー・ムーン【メモ帳】 (ページ11)

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sm「───ッ、え」

「は？」「ちょ！やべ」「えっ誰だよ」

スマイルは、開けてから似てるだけで違う車だと気が付いた。

それだけならまだ良かっただろう。後部座席を倒してフラットにした上で、男が3人。寄ってたかって1人の女の子を押さえつけている。

まあ間違いなくインカレサークルのどっかの男子大学生共で、女の子も間違いなく女子大生で。

いやそれはどうでもいい。これはアレだ、……合意のないヤバいやつだ。

そう脳が結果を弾き出した途端に、スマイルは冷や汗が吹き出した。

ドッドッと心臓が体を揺らす。直上から照りつける太陽がどうにもならないように、この状況もどうしようもない。

『た、たすけてください……ッ』

男の下敷きにされて泣いてた女の子に助けを乞われたら、考えが及ぶ前に、体が動いていた。

***

br「ケーサツ行こ？」

sm「いや、いい」

kn「たぶんスマイルには聞いてないよ」

sh 「普通に犯罪だから。俺ナンバー覚えてるよ。退学どころじゃなくね？捕まればいいよ、あーゆー奴ら」

駐車場でいきなり俺が男の1人を引きずり下ろして殴ったら、まあ当然のように3対1の喧嘩になるわけで。

ただ幸いなことにすぐ近くの車の中にいたBroooockとシャークんときんときが気が付いて駆けつけてくれたおかげで、3人の男共は俺と女の子を置いて車で逃げて行った。

自販機で買った冷たい水のボトルで殴られた所を冷やすスマイルの横で、Broooockのパーカーを羽織らせた女の子が涙を拭っている。

車の中で男に囲まれて怖い思いをした子を、また車に乗せて男が囲むのはどうなのかと思いはしたが、あからさまに乱暴されかけた姿の子を炎天下に立たせるわけにもいかず、Broooockの車に乗せて座らせた。

kn 「キミ、大丈夫？俺らより女の子呼んでこよっか？」

『いえ、あ、あの……』

女の子がやっと顔を上げれば、擦りすぎた目が腫れている。

『その、友達に、行ってこいって、言われて、行ったら……ああなって、……だから、』

だんだんと声が尻すぼみになっていき、嗚咽が混じっていく。

sm「……は？なにそれ」

男に突然襲われたことよりも、友達に裏切られて泣いていたらしい。
眩暈がするほどの怒りに思わずそう言えば、女の子はビクッと怯えて震え出した。

しまったと思う頃には、きんときが咄嗟に間に入る。

kn「キミに怒ってるわけじゃないよ！怖い思いをしたね、大丈夫。とりあえず家まで送ってあげるよ、安心して」