【WT】ペーパー・ムーン【メモ帳】 (ページ25)

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昇降口を出て校門に向かう途中、どうしても我慢できなくて。

br「A、ちょっといい？」

僕はAの手を掴んで人目のない非常階段の下にAを連れ込んだ。

『Broooock？』

上の階から吹奏楽部の金管楽器の音が漏れ聞こえていて、反対側のグラウンドからは陸上部とかサッカー部とかの声も校舎に反響している。

決して静かとは言えない場所の壁にAを閉じ込めて、うんと首を伸ばして見上げてくるAの不安げな顔を見下ろした。

『Broooock？どうしたの？』

br「ねえ、そんなにシャークんが気になる？」

『……え？』

br「お昼休み帰ってくるとき、どうしてシャークんとくっついてたの？」

聞いといてあれだけど、答えなんか聞く気もない。
Aの腰に腕を回して抱きしめて引き寄せれば、シャークんよりも身長差がある僕のためにAは爪先立ちになる。

br「A、僕がAを褒めたりビズするのはただのお友達の挨拶じゃないんだよ。

　ここ日本だもん、ごめんね。まわりの奴ら全員にAは僕のものですって見せつけるためにしてたの。だって僕、A以外にそんな対応しないでしょ？」

『ぶ、ブル───』

ちゅう。

もう何も聞きません。
Aが何か言いかけた口に、僕はうんと屈んで、ついに本当のキスをした。

ぽんって唇を離したら、Aは真っ赤な顔をしていて、僕の色に染まったみたいで。世界で一番可愛かった。

br「Aは僕のもの。大好き、とっても愛してる。僕、Aのためなら何でもするよ？」

『し、……知ってる！』

br「……えっ」