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-木曜日 放課後 in.ボーダー-
放課後。
ランクを上げたい隊員や、何となく暇だからとやって来た隊員で賑わうロビーの一角。
B級東隊隊長の東と、A級冬島隊隊長の冬島はひとつの机の上にふたつのコーヒーの入ったコップを置いて向かい合っていた。
冷や汗をかいている年上の冬島と、
何故かニコニコと笑っている東。
「……東、なんか怒ってるか？」
「別に怒っちゃ居ませんよ。ただAの任務について一言くらいくれたっていいんじゃないかって思ってるだけです」
「お前ほんと過保護だな」
冬島の声に東は「当たり前です」と返して、たった一人の姪っ子の姿を思い浮かべた。
病気で亡くなった兄譲りの黒髪と、義姉譲りの大きな黒目が綺麗な少女。
「Aと、家族の事を頼む」。そう言って逝ってしまった兄の事を思い出せば、その少女は自分の命よりも大切だった。
「まぁ、Aから連絡来てたので良しとします」
「なんだ、聞いてたのかよ」
「当然」
何のために携帯を誕生日にプレゼントしたと思ってるんですか。と、冬島に言えば、まじかよとでも言いたそうな表情をする。
父が亡くなり、母子家庭になったAはあまり裕福な暮らしは出来ていなかった。
だから、Aは危険を承知の上にボーダーに入って、一年ボーダーで働いたお金で『ここは危険だから』と隣の県へ引っ越させた。
当時中学生だった少女が、家族の為にそこまでのことをしのだ。
東からしてみればその時の苦労に比べれたら、携帯一台なんて安いものである。
「俺はAが幸せならそれでいいので。
あの子の存在があるからこそ、俺もボーダーに居る意味があるんです。
なので、泣かせたり辛い思いさせたら容赦なくぶん殴るのでよろしくお願いします」
「最後の一言よ。」
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作者名：-naki-
x他1人 | 作成日時：2018年8月26日 18時
