手折られる徒花 ページ13
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結局その後あれよあれよと太刀川隊への正式な入隊が決まり、残る彼女の蟠りは二宮に絞られる。
あれだけ熱心に(というのもどうなのだろうか)勧誘してきた二宮を足蹴にして太刀川を選んだのは事実だ。二宮に会いに行くのは気が進まないものの、何も言わないというのも嫌で彼女は腹を決めて二宮に会いに行ったのだ、が。
「なんだと……？」
「ちょっと二宮くん、そんな怖い顔しちゃ失礼よ」
「そーだそーだ」
「うるせぇ」
案の定二宮は腹の底から捻りでたような、不機嫌を身にまとった声色を彼女に差し向けた。
たまたま居合わせた加古と、彼女の謝罪に付き合うと付いてきた愉快犯の太刀川が、まるでその現場を楽しむように口を挟むから二宮の機嫌は急降下である。この時ばかりはいくら加古と太刀川でも黙っていてくれと彼女は切に思う他ない。
「すみませんでした」
誠心誠意を見せるべく彼女が繰り出したのはジャパニーズ式謝罪であった。
本部の連絡通路で土下座するB級隊員に、それを囲むボーダーの有名人3人の絵面は通りがかった人々を戦々恐々させているが、当の本人たちはそれどころではない。土下座なんて生まれて初めてのことをした彼女の手は完全に振るえ、このまま頭を踏まれてしまうのではないかと恐怖するそのそばで、太刀川はゲラゲラと笑い転げ、加古にいたって腹を抱えて過呼吸になりかけていた。
完全置いてけぼりを食らった上にプライドをこれでもかと土足で踏みつけられた二宮は、彼女に対して怒りを通り越し、心配の念が浮かび始めた。
本当に太刀川を選んでこの子は大丈夫なのか、と涙目になりながら延々と笑い続ける同級生に軽蔑の眼差しを向けつつ、二宮は口を開いた。
「……顔を上げろ、土下座もだ」
「いえでもあの、」
「そこまで言うなら今からでも俺のところにこい」
「それは無理だろ二宮ァ〜〜！！」
「うるせぇ。外野は黙ってろ」
「完全内野なんだけど」
「あはは、二宮くんったら盛大にフラれてるの」
「おまえらほんとに黙ってろ」
もはや二宮の怒りは完全に面白がって茶々を入れてくる同級生2人に向けられ始めていた。
彼女は恐る恐る顔を上げ再度謝罪の形をとると、二宮は溜息をつきながら「謝ってばっかだとナメられるぞ」と警告を促すと、未だに笑い転げる加古と太刀川を無視し去ってしまった。
数日後、二宮が隊のメンバーを揃えたと聞いた時、彼女はあの土下座の意味を考え直した。
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優波 - 凄く素敵な作品！続きが待ち遠しいです (3月9日 2時) (
レス) @page29 id: 02a233e3f8 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴ(プロフ) - 何回も読み直すレベルで四字熟語シリーズめっちゃ好きなので更新停止悲しいですが、また更新されるのこころまちにしてます！新作読みに行きますね〜！！ (9月1日 12時) (レス) @page30 id: 9d8af713d5 (このIDを非表示/違反報告)
ペネロッペ(プロフ) - この作品ずっと好きです！！更新待ってます(ToT) (6月29日 11時) (レス) @page27 id: a096a50c59 (このIDを非表示/違反報告)
シーラカンス - 完結ですか!?ストーリー大好きです！妹系泣き虫夢主ほんとに可愛い♡時間あるときでいいので更新して欲しいです。続きがすごく気になります🌳応援してます👊 (2022年8月2日 8時) (レス) @page27 id: 91514afe23 (このIDを非表示/違反報告)
40(プロフ) - かりめさん» お返事遅くなりましたがコメントありがとうございます。そこの2人は書いてて楽しいので今後たくさん絡み出していきたいなと思っています。だいぶ待たせてしまうかと思いますが楽しんでもらえたら幸いです (2022年2月26日 12時) (レス) id: f0ee598b96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：40 | 作者ホームページ：
作成日時：2021年5月6日 15時
