急展開、急降下、急接近 ページ11
.
あの日以来二宮は本部で彼女を見掛ける度に声をかけ勧誘していた。その度に彼女は断りの旨を伝えるのだが二宮はその事に首を振ることは無かった。むしろ首を洗って待っていろとばかりの態度で、彼女はもう大人しく二宮の元に入るべきなのだろうかとすら思い始めたのだ。
しかし本能的に逃げる姿勢をとるサイドエフェクトの思うがままに、彼女と二宮の奇妙な関係は続いていた。
だがここでその関係は終わりを告げることになる。
太刀川の登場である。
すでに隊を組んでエンブレム申請も出し、もう1人くらいほしいな程度にぶらついていた太刀川はブースで縦横無尽に暴れ回る彼女を見つけたのだ。そしていつかの如く、自己紹介もそこそこにブースに彼女を放り込みランク戦をして勧誘し始めた太刀川の言葉に、二宮の時はあれだけ頷かなかった彼女が頷いてしまったのだ。
あの時の彼女は突然攻撃手ランキング1位の戦闘狂に担ぎあげられランク戦を吹っかけられたのだ。呆然したままでの返事だったのだが、太刀川は満足気に頷くとすぐに彼女の手を引き「やることは早くやれって言われたからな！」と忍田の元まで向かいあれよあれよと太刀川の所属に決まった。
忍田だって学業を疎かにし溜め込む太刀川に向けての説教が、このような形で使われると思っていなかっただろう。明らかに合意を確実に得ているとは言えない状況に、忍田は太刀川に拳骨を下すと彼女に謝っていた。
「いいだろ、おまえ二宮のとこやなんだろ」
「ええ……嫌って言うかなんか……やな予感がするだけで別に」
「ふーん、まあとりあえず名前書けよ」
「強引！！」
隊に入れたい太刀川との押し問答の傍で忍田は眉を顰めた。
「もしかしたらサイドエフェクトかもしれないな」
それまでぼんやりと概念でしか象っていなかったサイドエフェクトを、彼女はこの日を境に意識するようになった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2256人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
優波 - 凄く素敵な作品！続きが待ち遠しいです (3月9日 2時) (
レス) @page29 id: 02a233e3f8 (このIDを非表示/違反報告)
かるぴ(プロフ) - 何回も読み直すレベルで四字熟語シリーズめっちゃ好きなので更新停止悲しいですが、また更新されるのこころまちにしてます！新作読みに行きますね〜！！ (9月1日 12時) (レス) @page30 id: 9d8af713d5 (このIDを非表示/違反報告)
ペネロッペ(プロフ) - この作品ずっと好きです！！更新待ってます(ToT) (6月29日 11時) (レス) @page27 id: a096a50c59 (このIDを非表示/違反報告)
シーラカンス - 完結ですか!?ストーリー大好きです！妹系泣き虫夢主ほんとに可愛い♡時間あるときでいいので更新して欲しいです。続きがすごく気になります🌳応援してます👊 (2022年8月2日 8時) (レス) @page27 id: 91514afe23 (このIDを非表示/違反報告)
40(プロフ) - かりめさん» お返事遅くなりましたがコメントありがとうございます。そこの2人は書いてて楽しいので今後たくさん絡み出していきたいなと思っています。だいぶ待たせてしまうかと思いますが楽しんでもらえたら幸いです (2022年2月26日 12時) (レス) id: f0ee598b96 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：40 | 作者ホームページ：
作成日時：2021年5月6日 15時
