友達ごっこのその後に ページ36
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「……なるほどな。話は大体わかった」
敬礼をする荒船に穂刈と「最近観た映画に影響されてる？」「たぶんな」と顔を見合わせる。出来上がったお好み焼きを切り分け穂刈は彼女に量を尋ねながら置いていった。
「けど何も難しい話じゃないだろ。絵馬が個人で遠征メンバー目指して玉狛のチビちゃんについて行けばいいだけの話だ」
「チビちゃんが心配なら自分で行って自分で守れ」
彼女は荒船の並べる自論を聞きながら頷いた。
荒船メソッド第一被験者でもある彼女は荒船の理論的な考え方が好きだ。難しく考えすぎず、いちばん早い糸道から完結的に導き出す考え方が彼女には合っている。それに加えて荒船理論の中には男前な考え方が備わっている。漢の中の漢と言わんばかりの回答は、荒船の趣味である映画から培われたのか定かではないが彼女に情熱を与える故に、彼女は荒船の事を尊敬していた。孤月の扱いを習おうと思った時真っ先に思い浮かんだのが荒船だったくらいに、荒船に沢山のことを学んだのだ。
「そういやAはユズルと面識なかったっけかァ？」
「……うん、あんまない」
絵馬はそう言うと目線を彼女に向けた。
絵馬との接点があったのは今はいない鳩原を介してだった。そのまた昔彼女が狙撃手をしていたころ、毎日荒船に怒られてはひとり悔しさにメソメソと泣いていた彼女に大丈夫だと、Aはすごい子なんだと慰めてくれたのは鳩原だった。
才能がない訳ではなかったが狙撃手というポジションとの相性が悪く結果辞めた訳だったが、それまでの間鳩原に世話になってたのは事実であり、その鳩原の弟子である絵馬と交流したのも必然的であった。寡黙で多くは語らないが二つも上の女がおいおい泣きだすと決まって絵馬はオロオロと背中を摩ってくれていた。そんな様子を見て鳩原は2人の頭を撫でて目を伏せてしまうのだ。
しかし鳩原がボーダーを辞めてからはパタリと交流は減り、お互い影浦を通して名前を聞く程度にまでになっていたのだ。
「あ？んだよ、ならアイツのイイログ今度見せてやるよ」
「でたでたでた！！影浦先輩！！断固拒否！！やですだめです！！」
「暴れるな、危ないから」
「師匠に逆らっていいと思ってんのかァ？」
「荒船師匠ー！影浦先輩とめて！」
「うるせぇ」
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作者名：40 | 作者ホームページ：
作成日時：2021年2月26日 0時
