つまりずっと平行 ページ35
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話は遡ること一年とちょっと前。丁度荒船が攻撃手から狙撃手にポジションを変えた頃、彼女はずっと悩んでいた。太刀川隊は超前のめり近距離編成でずっと遠距離がいないことに、太刀川隊の誰一人悩んでいなかったことに、彼女はずっと悩んでいたのだ。
本来中距離の自分と出水がカバーしたらいいものを、彼女はどうしても近距離戦に持ち込みがちだった。太刀川もそれを容認していたし、よくペアを組まされる烏丸も何も言わなかった。結果援護を1人で持ち受けることになっている出水ももちろん笑って許してくれてた。
しかし彼女だけは不思議な危機感を感じていたのだ。それに追い打ちをかけるように、同じA級隊員である菊地原に都合よくそれに関する嫌味を言われていたのもあり、彼女は真剣に自分が狙撃手へ移るべきなのではないかと考え始めていた。
一方その頃丁度攻撃手から狙撃手になった荒船は自論のメソッドの組み立てに勤しんでいた。
これが運命の出会いとなる。
「どうした、悩み事か」
荒船とは攻撃手の個人戦でたまにお手合わせする低度の仲だった。彼女も荒船も会えば挨拶する程度。その日もたまたま鉢合わせたから挨拶しただけだったのだが、荒船は妙に真剣な顔した彼女に違和感を感じた。
普段からケラケラとよく笑いあまり深くは考えてなさそうな彼女が、眉間に皺を寄せている。あまりにも似合わないその顔にそう声をかけてしまったのだ。
「どうも……実は私狙撃手しようと思って」
「……何かあったのか？」
「太刀川隊には遠距離の人間も必要だと思って……でも狙撃手なんてまったくわからないし、多分今までの勉強法でもむずかしそうだし、でも狙撃手の知り合いなんて全く知らないしでお手上げで」
彼女の言う勉強法は、ひたすらログを見返してブースでそれを実践して体に叩き込むという割と原始的なやり方だった。見返したログの当人や、それに1番近い動きをする人を捕まえて気が済むまで籠ってる。下手したら太刀川よりも厄介で1度捕まればなかなか離してもらえないことが多い。
だが狙撃手だとそうはいかない事を彼女はそれなりに理解しているようだった。
「……なら俺が面倒見てやるよ。ただし、おまえもおれの理論に付きってもらう」
取引だ、と荒船は見たことの無い彼女への興味で手を差し出したことこそが、事の始まりだった。
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ついに関係性公開。原作8か月前にポジション変えたけどちょっと捏造してます すみません
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作者名：40 | 作者ホームページ：
作成日時：2020年12月3日 0時
