やさしい夢に逃げるな ページ28
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「さっきぶりですね、お礼参りに来ました」
三雲は顔を上げた。大規模侵攻が始まってから大半を助けて貰っていた彼女を視認すると、息を飲んだ。普段玉狛に遊びに来る彼女の柔らかな眼差しとは違い、屋根の上からこちらを見ている彼女の目はひどく冷たかった。
三輪は彼女の存在を視界に入れると舌打ちし、ハイレインを見つめた。
「もう追いついたか」
「機動力は結構自信あるんで」
「なるほど、先程の玄界の射手に匹敵する力に機動力。今すぐにでも遠征艇で連れて帰りたいな」
「角つけるのはちょっと」
「敵とベラベラと話すな小鍛冶」
三輪は彼女にそう告げると孤月を抜いた。ハイレインがトリガーを飛ばす前にレッドバレッドをハイレインに撃ち込んだ。その隙に彼女も合成弾を練り出しハイレインにぶつける。
「ミラ」
「なんでしょう」
「女の方を頼んだ。俺は男の方を相手する」
「承知しました」
何度と聞いた嫌な音と同時に彼女の前にミラが現れる。
「はやく終わらせましょう。私貴方の相手する程暇じゃないの」
「三雲くん早く行って」
ミラの言葉を無視し座り込む三雲に先に行くよう強く言う。三雲のそばにいたレプリカも同意を示す。彼女は迅の言葉が呪いのように頭から離れないでいる。自分が三雲修の運命を左右する立場にいるという、その言葉だけが勝算の見えない敵との戦いを強いる理由になった。
「むだなこと、を」
ミラが彼女に向けて小さなワープ窓から本部基地でエネドラを刺したような大きな棘を出すのよりも、彼女の方が早かった。
グラスホッパーで間合いを詰め彼女はスコーピオンでミラの左手を落とした。
「もしかして弾しか撃てないと思ってました？」
「ッ！」
ミラが顔を顰める。
大規模侵攻が始まってからずっと彼女は射手として動いていた。ヒュースを斬りにかかった時以外スコーピオンを出すことは無かった。
その現場に居合わせていないミラからしたら予想外の攻撃にワープ窓を出現させる。
「私結構近距離も得意なんです。とりあえず両手無くなればそのワープでなくなりますか？」
彼女はやる気だ、両手を斬り落としに来る。ミラはそう、すぐに察した。
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あと2話くらいで大規模侵攻編おわります
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作者名：40 | 作者ホームページ：
作成日時：2020年12月3日 0時
