ヘルドクターの審美眼 ページ14
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荒船の言葉に動きを止め、ゆっくりと村上の瞳を見つめた。村上は少し苦い顔をして荒船を見るが、荒船は大丈夫だと言ってそのままAに村上のサイドエフェクトの話をする。
村上の内心は曇っていた。
しかしその反対で隣で話す荒船の顔は嬉々としてるし、Aを抑えていた穂刈の顔も和やかだった。Aの表情はどうにも読み取れなかった。
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話を聞き終えたAは穂刈を振りほどきつかつかと村上の元にやってきた。
「……次いつ本部に来ますか」
「え、」
「また10本してください」
次は絶対に勝ち越しますから、と宣戦布告してきたAに村上は呆気にとられた。隣にいる荒船は「お前よりも鋼の方がもっと伸びるぞ」と煽るものだからAも「私も伸びますけど！」と反応している。
なんだ、また個人戦してくれるんだ。
サイドエフェクトの影響で自分が人の道を折ることを心のどこかで怖がっていた村上は、自分に食いかかってきてくれたAにひどく安心した。その様子をくみ取った穂刈はギャアギャアと騒ぐ荒船とAを見ながら笑っている。
「これからも遊んでやれよ。アイツと」
「……そうするよ」
結果としてAは村上に負けた悔しさだけで村上が本部に訪れる度に何度も個人戦に挑み続けた。村上は学習する能力の発達が人よりもはやい。ならば自分は村上とは毎戦違う戦法を使って勝ちを取りに行くしかない。
Aの攻撃方法に法則性がないのは実にAの負けず嫌いの性格と、そのAと相性の良い村上がいたおかげであることは、その可能性に気づいていた荒船以外知る由もない。
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作者名：40 | 作者ホームページ：
作成日時：2020年12月3日 0時
