合縁奇縁【WT】 (ページ13)

今日:52 hit、昨日:238 hit、合計:922,349 hit

梟のまどろむ街ページ13

.

村上鋼と小鍛冶Aは実はかなり仲がいい。

というかAが一方的に村上のことを慕っているようだが、村上本人もAのことはそれなりに可愛がっていた。自分の所属する隊の狙撃手と同じ土俵で可愛がっているということは、Aにも、その周囲の人間誰にも伝えていないが。

この2人の接点は言わずもがな荒船哲次の存在だった。
荒船からの紹介で知り合ったAは村上の持つサイドエフェクトのことを何も知らなかった。ただあの時の荒船がとても意地の悪い顔で2人を個人戦のブースに押し込んだことだけはよく覚えていて、何も知らないAに対して村上は休憩を挟んで10本勝負をしてくれと申し出たのだ。

何も分からないまま始まった個人戦は当然の結果とばかりに村上が勝利し、後半何をしてもわかったように避けられ攻撃を受けただけのAはひどく混乱したのだった。ただ、ブースを出れば彼女と村上を会わせた張本人が嬉しそうに笑っていてAはこの時ようやく嵌められたことを理解したのだった。

「あ～久しぶりにこいつがボロ負けしてんの見たわ」
「惜しかったな」
「なにも惜しくないしなんで穂刈先輩まで増えてるんですか」
「ギャラリーは多い方がいいだろ」
「荒船先輩ほんと意地悪！！」

負けて大層悔しいのかギャアギャアと荒船といつの間にか2人を観戦してた穂刈に食ってかかるAを見て村上はどうしようかと手をさ迷わせるばかりだ。
そんな村上の肩を組み、荒れるAを穂刈に抑えさせると楽しそうに言うのだ

「コイツな、サイドエフェクトあんだよ」

.