歪【ワールドトリガー】 (ページ3)

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参考人の目覚めページ3

嫌なトラバーチンだ。

電子音と空調の音。

蛍光灯の白すぎる光が目にしみる。嵌め殺しの窓からの採光はないようだ。

意識が戻ったことがモニタからバレたのか、誰かがこちらにやってくる。

数人の足音を聞き取ったが、実際に触れた手は一人分だった。

そばに運ばれてきたワゴンのステンレスに、戦闘員と思しき隊員が歪んだ影になって映っている。

「おはようございます。声は出せますか？」

こちらの喉に何か吹きかけてから、いくつかの装置を取り外して訊く。

唇をやや乱暴に引き開けられた感触は布一枚向こうで、鎮静の度合いから警戒態勢を悟った。

「はい」

「トリオン体修復には３日ほどかかります」

とはいえ、返答次第で向こうはもう私にトリガーを握らせる気はないに違いない。

「わかりました」

ストレッチャーごとどこに運ばれているのかは大体見当がついていた。

それにしても眠気がさっぱり覚めてしまった。
さっきの薬剤はただの咽喉潤滑剤ではなかったのかもしれない。
もしくは異常に警戒されている今の状況が、脳のみを覚醒させているのだろうか。

無駄に覚醒した目と脳では、素早く通り過ぎる蛍光灯で酔いそうで目をつむる。

このままもう一度眠れれば良いのに。