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カウンターに俺も肩を並べてコーヒーを啜る
最後のお客さんも、5分ほど前に帰られたからもう店じまいや
『こうしてまたふたりでコーヒーを飲むなんて、信じられへんな』
まだAの顔はまともに見れへんけど
俺の想いは、2年分の気持ちはちゃんと伝えな
『俺待ってたで。Aにまた会えることを。
確かになんでやろうって、怒っとった感情のほうがでかかったかもしらんけど、
それでも俺は待ってたんやと思う。
何も変わらないこの場所で、こうしてコーヒー作り続けてれば、きっと会えるって』
「淳太………
私ね、妹が事故に遭ってしまって、ひとりで何とかしなくちゃって、、」
Aはカップを見つめながら静かに語り始めた
「昔に話してたと思うけど、うちは両親が小さい頃に事故で亡くなって
私と妹を育ててくれたのが東京のおばあちゃんだった。
私が大阪の大学に来て少し過ぎたころ、おばあちゃんは体調を崩してしまい、ずっと妹が面倒を看てくれていたの………
妹に任せてしまうことに負い目を感じていたから、その妹までもが事故に遭ってしまうなんて、、家族を助けるのは次は私の番だなって……」
俺はここでようやくAの顔を見ることができた
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作者名:そら | 作成日時:2020年2月10日 15時