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『いらっしゃい』
22時を過ぎてAが来店
閉店間際で他のお客さんは残り1組やった
「遅くなってごめんね」
『ええよ。それがAの仕事やん。
ごはんまだやろ?』
カウンターのスツールに腰を掛けるAにエビピラフとスープを出す
「……………」
何も話さずじっとエビピラフを見ているAの瞳は、揺らいどるようにも見えた
『温かい内に食べてな』
「……いた、だきます………」
『久しぶりやろ。俺がいまでも唯一の得意料理や』
「……じゅ、淳太……おいしい………」
『………泣かんでもええやん』
Aは静かに、泣きながら、俺の得意料理を食べてくれた
「私の好きなエビピラフ……メニューに残してくれてたんだね。………ありがとう」
『当たり前や。
あの頃、Aが食べたい言うから、俺必死に練習したんやんか。料理なんて出来ひんのに』
「淳太……」
『俺さ、さっき来てくれたのんちゃんに言われて気付いたことがあんねん』
そろそろ、俺は素直になったほうがええみたいやな
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作者名:そら | 作成日時:2020年2月10日 15時