前途多難な恋ごころ…(桃) (ページ37)

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３７……side桃ページ37

『Aさん………』

俺はテーブルに置かれたAさんの手に、そっと自分の手を重ねる

「小瀧？」

『無理しないでください。
無理に忘れなくてええと思います。
本気で好きやったんやから、そんな簡単に想いを捨てれることなんて出来へんと思います』

「そう、だよね………

私わからなくて。

自分の何がいけなかったのかなって。

ほら、私こんな性格だから、可愛く甘えたりとか出来ないから……そういうとこなのかなって」

俯いたまま、素直な気持ちを話してくれる

こんなにこんなに可愛ええのに

『Aさんは悪くないッスよ。

全然悪くない』

「でも……」

『濵ちゃんが、運命のひとやなかっただけや。

俺はAさんのこと、真剣に恋する可愛いらしい女性やと思ってます』

「なっ………なんで小瀧はそんな恥ずかしいことをサラッと言えるの？」

『俺も本気やから……！

俺の運命のひとはAさんやと思ってます』

衝動的とはいえ、嘘偽りのない俺の気持ち

どうか、どうかあなたに届いてくれますようにと、重ねた手に少し力をこめる

『俺がいつでも味方でおること……忘れないでください』

「………ありがとう」

俺を見つめるその瞳は、確かに揺れていた