生活安全課.37…side you ページ37
自分で自分の気持ちが分かって、なんだかやけにすっきりとした気分になった。
『あの、実は……私、重岡さんのことが好きなんです。あの真っ直ぐな強さに、憧れて……
重岡さんが私のことを好きかどうかは、ちょっと確信は持てないというか、自信はないんですけど、
彼は、私にとっては、命の恩人でもあるんです』
なんだろう。胸が熱くて、痛い。
『重岡さん、強すぎる余りに、ちょっと自分の身を案じないというか……そんな危うい部分があるので、自分をもっと大切にして欲しい……
とにかく、私はあなたが好きだから、生きていて欲しいから、また帰って来て欲しいって、伝えたいです』
こぼれそうな涙を拭って、暗い歌舞伎町に目を向ける。
潜入するなら早い方がいい。夜が明ける前に。
『神山さん……私こう見えても元特殊班の人間です。ですから、連れていって下さいとは言いません。足手まといにならないよう、自力でついていきます。だから……』
「わかりました………一緒に行きましょう」
差し出した私の手を、神山さんはじっと見下ろして、やがて優しくすくい取るように握った。
大きくて、あたたかい手だった。
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作者名:そら | 作成日時:2021年2月28日 9時