観覧車 - J.K ページ24
もう、これは、7年くらい前の出来事。
「遊びに行こう」
そんな一言で始まる休日は非日常的で。
私の支度が終わるのを、タバコを吸いながら待っている君が愛おしくて。
『ねえ、今日はどこに行くの？』
「Aの好きなとこ」
『んー、どこがいいかな』
「無いん？」
『うーん、じゃあ観覧車』
「決まりやな」
私の手を引いて歩く君は、どことなく幸せそうだった。
観覧車に乗って、外を眺める。
私には、やらなきゃいけないことがあった。
『九条くんさ、』
『邪魔じゃない？私のこと』
「急にどうしたん？なんかあった？」
『ネタ作りの時間、あきらかに減ってるよね』
「……」
『ねえ、九条くん？』
『私たち、さ、』
「やめて、言わんで」
「ちゃんとするから、僕、ちゃんとするから」
泣きそうな顔をしている九条くんから目を逸らして、外の景色を眺める。
『九条くんはそんなに器用じゃないよ』
終わりの見えている恋愛。
私たちは、まだ、若すぎる。
でも、それでも、5年後、10年後思い出すのは、
九条くんが、思い出すのは、私じゃないかな。
「もう、嫌いになったん？僕のこと」
『好きだよ、この先もずっと、好きだと思うよ』
こんなことを君に言ってしまう私が、いちばんずるいね。
そうだよ、私が全部悪いんだよ。
君は何も悪くないんだよ。
「なんで、なんでお互い好きなのに別れなあかんの」
『"好き"より大事なものが、九条くんにはあるでしょ』
「好きより大事なものがあっても、Aより大事なものなんかないで？」
『そんなの一時的なものだよ』
「一時的？僕は結婚まで考えてるで？」
私は微笑みながら君の頬に手を添える。
『泣き虫だなあ、九条くんは』
九条くんは私の手を強く握った。
私も泣いているのは、夕日の光で、誤魔化せているだろうか。
この観覧車が終わったら、私たちも、きっと、
『九条くんは何も悪くないよ』
「……」
『……』
「結婚しよう」
『え？』
「全部終わったら、僕と結婚してほしい」
『いや、でも、』
「約束して。僕のこと、まだ本気で好きなら。」
『ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ』
観覧車を降りて、私は大きく伸びをした。
そして、九条くんは、私のことを振り返らずに歩き出した。
なにか、心に決めた顔で、歩き出した。
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さき - 芸人さんの言葉遣い操るのうますぎです…最高です！！！これからも楽しみにしています！！！ (2023年1月23日 15時) (
レス) @page29 id: 5ea285ba75 (このIDを非表示/違反報告)
伊入(プロフ) - はじめてコメント失礼します、リクエストなのですが、堂前さんととにかくイチャイチャするお話しがみたいです、よろしくお願いします！！ (2022年1月21日 20時) (レス) id: 6a2f245552 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃむ(プロフ) - 初めまして！九条さんと辻さんにかわいがられて、後輩芸人の主が恥ずかしくなっちゃう話がみたいです！ (2022年1月18日 10時) (レス) id: fbaaa02cac (このIDを非表示/違反報告)
hhhhhhhhac(プロフ) - 堂前さんの嫉妬みたいな感じのお話みたいです！いつも見させていただいています！ (2022年1月8日 19時) (レス) @page20 id: 62779a0b72 (このIDを非表示/違反報告)
なお - いつもお話楽しませてもらってます！夜遅くにベロベロに酔った川西さんにめちゃめちゃかわいがられるお話読みたいです🥺 (2022年1月8日 18時) (レス) id: 5a42cc6d8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さかき | 作成日時：2021年8月10日 20時
