目覚め�� ページ5
医務室の扉を閉めると、
中原はずるずるとその場に座り込む。
そして、
ははっ と乾いた笑みを零した。
「……覚悟はしてたのに、な」
ポツリと呟き、中原は帽子をぎゅっと掴む。
異能は使っていない。
だが、躰が鉛のように重い。
“ ________中原幹部！ ”
先刻の彼女を思い出す。
…愛しいその姿や声は変わらない筈なのに、
あの頃の彼女はもう居ない。
「糞っ垂れ……」
彼女が生きていればそれでいい。
それでいいんだ。
何度も何度も、
そう自分に云い聞かせる。
そうしないと、自分の中の何かが壊れそうで。
中原はゆらゆらと立ち上がった。
すると、前から足音が聞こえる。
其方に目をやると、
マスクをして口元を隠してる女______銀が居た。
銀は中原を見るなり、
スッと頭を下げる。
中原はそんな銀を見ながら口を開いた。
「………Aが目を覚ました」
「！」
中原の言葉に銀は顔を上げ、
目を丸くしていた。
「……
中原がそう云うと、銀はコクコク頷く。
それから、何かを伺うように中原を見る銀。
中原は銀から目を逸らして ふっと笑う。
…その顔は、消えてしまいそうな程儚いものだった。
「忘れちまってる、Aの奴。…全部な」
「……っ」
銀の瞳は揺れた。
中原は帽子を深くかぶる。
「………あの異能力者が云ったことは、本当だったって事だ」
銀は固まったように動かない。
そんな銀の横を中原は通り過ぎた。
そこでふと、あることに気付く。
( …世界ってこんなに
中原は辺りをぼーっと見ながらそう思った。
確かにマフィアは黒一色だ。
然し、黒でもまた違った色彩の世界だった。
………昨日迄は。
今じゃもう、闇しか見えない。
その闇に飲み込まれていくように、
一歩ずつ足を進める中原。
そして、思い出されるのは或る人の言葉だった。
“ _______彼女の命を紡いであげましょう。
私には、その力がある。
但し、それには代償が付き物です。
そうですねぇ。
その代償は…
.
.
.
________恋人としての貴方との記憶、で如何でしょう ”
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 162人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花蓮(プロフ) - ｢戀蝶｣から愛読させて貰っています！文ストの小説の中で一番好きです!!!!更新頑張って下さい！これからも応援しています！ (2019年1月2日 16時) (
レス) id: ca285a2166 (このIDを非表示/違反報告)
林檎@諸事情につき低浮上(プロフ) - つ、続きをどうか... (2018年7月21日 23時) (レス) id: 4706140a44 (このIDを非表示/違反報告)
花翠(プロフ) - くるみさん» コメントありがとうございます。オチについてはもう既に決まっています。どうなるのか此処で云うことは出来ませんが、最後まで読んで頂けると幸いです。どうぞ宜しくお願い致します！ (2018年5月27日 17時) (レス) id: 30d88a45be (このIDを非表示/違反報告)
くるみ - 銀ちゃんの辛さもすごくわかります。立原の恋も応援したいですが中也の恋も応援したいです！でも私は中也おしなので中也オチでおねがいしますね！！（もちろん立原もおしキャラですけどね！！） (2018年5月23日 6時) (レス) id: 31ba52f844 (このIDを非表示/違反報告)
花翠(プロフ) - shinox2さん» コメントありがとうございます。立原くんの活躍する小説が少ないなと思ったこともあり、メインのうちの一人とさせて頂きました。ご期待に添えるように頑張ります！ (2018年5月22日 0時) (レス) id: 30d88a45be (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花翠 | 作成日時：2018年5月21日 12時
