目覚め�� ページ4
Aが発言すると、
中原はパッと腕を離す。
再び視線が交差した時、
Aは目を見開いた。
「……中原幹部、か」
何故なら、中原が苦しそうに笑っているから。
『あの……若しかして私が起きる迄 側に居てくれたんですか？』
中原の表情の意味について振れることは出来ず、
Aはおずおずと彼に質問をした。
「…まァな」
『も、申し訳ございません！』
「…は？」
幹部様が、上司が、
態々此処に居てくれた理由は一つ。
『記憶が無いんですが、
多分私が手を離さなかったんですよね…？』
そう云って、繋がれている左手を見た。
この人が部下思いなのは知っている。
振りほどくことは出来なかったのだろう。
無意識に掴んだ手が幹部だなんて、
自分はどれだけ身の程知らずなのか。
中原はその左手を見ながら小さく笑う。
「……莫ァ迦。
これは俺が勝手にしただけだ」
そして、そっと手を離した。
左手に温もりが消える。
中原は床に落ちた帽子を拾って立ち上がった。
「……お大事にな」
そう云って彼はAに背を向ける。
でも、一度振り返ってAを見つめた。
如何したのだろう、とAは首を傾げる。
「…本当に、手前は何も______」
そう云いかけて、
中原は口を閉じた。
「…いや、何でもねェ」
再び背を向ける中原。
そのまま彼は部屋を出ていってしまった。
彼の姿が見えなくなるのと同時に、
Aは どっと息を吐き出す。
『何だったんだろ……』
無意識に、左手を見つめた。
彼の温もりが消えてしまった瞬間、
何故か不安が募ったことを思い出す。
…まだ、離さないで。
心の何処かの自分がそう云っているようで。
『……暖かかった、なぁ』
この喪失感は何なのか。
部屋に独りになったからなのか。
そこでふと、目覚める前のことが頭を
( 私は、誰に逢いたかったんだっけ )
思い出そうとするとズキズキ頭が痛み、
それ以上考えることは出来なかった。
…夢だからそんな事もあるだろう。
そう自分の中で解決させ、
Aは再びベットに潜った。
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花蓮(プロフ) - ｢戀蝶｣から愛読させて貰っています！文ストの小説の中で一番好きです!!!!更新頑張って下さい！これからも応援しています！ (2019年1月2日 16時) (
レス) id: ca285a2166 (このIDを非表示/違反報告)
林檎@諸事情につき低浮上(プロフ) - つ、続きをどうか... (2018年7月21日 23時) (レス) id: 4706140a44 (このIDを非表示/違反報告)
花翠(プロフ) - くるみさん» コメントありがとうございます。オチについてはもう既に決まっています。どうなるのか此処で云うことは出来ませんが、最後まで読んで頂けると幸いです。どうぞ宜しくお願い致します！ (2018年5月27日 17時) (レス) id: 30d88a45be (このIDを非表示/違反報告)
くるみ - 銀ちゃんの辛さもすごくわかります。立原の恋も応援したいですが中也の恋も応援したいです！でも私は中也おしなので中也オチでおねがいしますね！！（もちろん立原もおしキャラですけどね！！） (2018年5月23日 6時) (レス) id: 31ba52f844 (このIDを非表示/違反報告)
花翠(プロフ) - shinox2さん» コメントありがとうございます。立原くんの活躍する小説が少ないなと思ったこともあり、メインのうちの一人とさせて頂きました。ご期待に添えるように頑張ります！ (2018年5月22日 0時) (レス) id: 30d88a45be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花翠 | 作成日時：2018年5月21日 12時
