愛しさとは�� ページ10
『如何、生きたいか……』
ぎゅっと、Aは胸元で自分の手を握る。
『私は________』
Aがそう云いかけた瞬間、
彼女は急に立ち上がり、石川が居る方に歩き出す。
首元には、“ 赤い跡 ” 。
『っ…！』
「チッ…！異能発動してやがったか！」
中原は直ぐにAの腕を掴んだ。
「………気に食わない、嗚呼、気に食わない。」
木屑の舞う中で、
ボソボソ…と呟く石川の声が聞こえる。
「黒蝶……貴女の場所は此処ですよ？
それでも、彼の元へ行くのですか？」
『っ…』
「おいA！其奴に耳を貸すな！」
中原は、Aを掴む力を強くした。
「っ、手前の人生は手前でしか作れねェんだよ！！
自分が如何したいか、いい加減正直になりやがれ！！」
中原の言葉に、Aはハッとする。
“ 蝶々は自由に空を飛べるでしょう？ ”
“ 想い、ちゃんと…届けてね ”
(夕霧、蓮華…。
私は、蝶になっていいのかな。)
Aはゆっくり目を閉じる。
…浮かぶのは、夕霧と蓮華の眩しい笑顔。
(…莫迦ね。最初から、答えは出てたわ)
そして、Aはバッと顔を上げた。
『…私はっ…
____________中也と一緒に、生きたい…っ！！！』
涙でぐしゃぐしゃな顔は、きっと酷い。
それでも、伝えたい。
……愛しい、あの人に。
中原はAの言葉を聞いて、
ニヤリと笑った。
「…そう来なくっちゃなァ！」
そして、ぐいっとAを引っ張り……
________背後に投げ飛ばした。
『えっ！？ちょっと…！』
このままじゃ床に叩きつけられる。
そう思ったが、
ふわっと誰かに抱きとめられた。
「…全く、女性をこんな風に扱うなんてね。
だから中也は彼女出来ないんだよ？」
「うるっせェな！それは関係ねェっつってんだろ！
________________太宰！」
Aは直ぐに顔を上げる。
そこには、ニコリと笑う太宰がいた。
『太宰治！？』
Aが混乱する中、
ぽすりと彼女の頭に何かが乗る。
…それは、中原の帽子だった。
「それ、持っとけ」
『えっ…』
「…全部終わったら、返せよ」
そう云って、中原は木屑が舞う中に飛び込んで行く。
頭に乗せられた帽子には、
彼の温もりがまだ残っていた。
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レタス - とても読みやすい小説でした。ありがとうございました！ (11月5日 10時) (
レス) @page29 id: 56b8d7e8d6 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - とても物語の世界に引き込まれる感覚で、最初から一気に読んでしまいました。本当に面白かったです！中也と夢主ちゃんとの関係性もドキドキして読むのが楽しかったです。この作品を見つけられて本当に良かった☺️ (7月9日 22時) (レス) @page30 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
meme - 中也さんと夢主の関係がとても良くて感動しました。文才ありますね。すごいです。 (2021年9月5日 18時) (レス) id: 8a122b7869 (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ(プロフ) - とても感動しました泣 (2021年4月6日 19時) (レス) id: 0eb527936d (このIDを非表示/違反報告)
しま - 今まで読んだ中で一番深いと思ったお話でした。すごく読みやすかったです！ (2020年7月23日 19時) (レス) id: 2d44a29385 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花翠 | 作成日時：2018年3月18日 20時
