レンゲソウ�� ページ4
「安心して下さい…
今から貴女達に頼む仕事はあの “ 仕事 ”ではありません」
『離して……！
蓮華が血で……！！』
Aは石川の腕から逃れようと藻掻くが、
その場から一歩も動くことが出来ない。
一方の蓮華も、花びらが舞う中で
ピクリとも動かないまま立っている。
『蓮華っ…！』
Aの呼びかけにも応じない蓮華。
石川はAを抱きしめる力を強くする。
『いっ…』
「……主人の話を聞けない子に育てた覚えはないんですが」
そう云って、ニコリと笑う石川。
その目は笑ってはいない。
『っ……』
「そうです、そのまま良い子にしてくれれば良いのです」
石川は視線を蓮華に向けた。
「…さて、仕事ですが。
私の側近は一人居れば充分なので、
________消えて貰いたいのです」
Aは息ができなかった。
背中に冷や汗が流れる。
『消、える…って、如何いう』
「簡単です。
二人のうち一人は、死んで頂く」
そう云って、石川は刃物で自分の腕を傷付け、
血を流した。
そしてその血を指で掬う。
『…や、めて』
Aは、この流れを知っている。
「何をです？」
石川は不敵に笑った。
血のついた指で
………Aの首に触れる。
「________異能力【悲しき玩具】」
『厭！！！！』
そんな彼女の叫びは届かず、
彼女の首には “ 赤い跡 ” が付いていた。
するりと離れる石川の腕。
『あ……あ……』
Aの意に反しながら
前に進んでいく彼女の足。
そして、向こうからも、
蓮華がふらふらと近付いてきていた。
ゆっくりと、蓮華は顔を上げる。
そこで初めて、Aは蓮華の顔を見た。
『…れん、げ？』
彼女の名前を呼ぶ声が、震える。
……それもその筈。
彼女の顔は青白く、痩せこけていて
とても生きた人間とは云え無かった。
「嗚呼、そう云えば彼女は、私を裏切った…
だからその罰を与えたんでしたっけ」
感情の無い声で、石川は云う。
「これは直ぐに仕事が終わりそうですね、黒蝶」
そう云って、石川はその部屋から出る。
部屋には、Aと蓮華だけ。
「______________良い最期の一時を」
…ゆっくりと、襖が閉まっていった。
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レタス - とても読みやすい小説でした。ありがとうございました！ (11月5日 10時) (
レス) @page29 id: 56b8d7e8d6 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - とても物語の世界に引き込まれる感覚で、最初から一気に読んでしまいました。本当に面白かったです！中也と夢主ちゃんとの関係性もドキドキして読むのが楽しかったです。この作品を見つけられて本当に良かった☺️ (7月9日 22時) (レス) @page30 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
meme - 中也さんと夢主の関係がとても良くて感動しました。文才ありますね。すごいです。 (2021年9月5日 18時) (レス) id: 8a122b7869 (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ(プロフ) - とても感動しました泣 (2021年4月6日 19時) (レス) id: 0eb527936d (このIDを非表示/違反報告)
しま - 今まで読んだ中で一番深いと思ったお話でした。すごく読みやすかったです！ (2020年7月23日 19時) (レス) id: 2d44a29385 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花翠 | 作成日時：2018年3月18日 20時
