守りたいモノ�� ページ20
「あれー、Aちゃん、
私にも云ってくれないの？」
拗ねるように云う太宰に、
涙を拭いながらクスリと笑うA。
『……おかえりなさい？』
「…何か中也の時と違うなぁ」
そう云いつつも、太宰は笑う。
「
………君は先刻から固まってるけど大丈夫？」
太宰の言葉に、Aは中原に視線を向けた。
中原は太宰の云う通り、ピシッと固まっている。
『中也…？』
Aが彼の名を呼ぶと、
中原は はっとする。
「あっれぇ中也、真逆 、
先刻のAちゃんに見惚れ……」
「ああああ！」
中原は太宰の言葉を遮るように叫び、
Aを自分の胸に押し付けた。
『ちょっと！…中也？』
「見んな、いいから見んな」
そう云う中原は顔を真っ赤に染めていた。
太宰はそんな中原をニマニマと見つめる。
「…中也、前に私が云ってた言葉の意味…判っただろう？」
中原は舌打ちをする。
思い出されるのは、BARで太宰に云われた言葉。
________“ 男は目で恋をし、女は耳で恋に落ちる ”
「……糞が」
中原はそう云いながら、
Aを抱きしめる力を強くした。
“ 『________おかえり…なさい』”
(…あの顔を、俺は守りたかったんだな…きっと)
『中也っ…くるし…』
「っ！悪い」
パッと離される中原の腕。
再びAと視線が重なった中原は、
気まずそうに目をそらす。
『中也…』
「あ…？」
『これ』
そう云って、Aは自分が被っていた帽子を中原に被せた。
『…矢っ張り、その帽子は貴方じゃないとね』
ふふ、と微笑むAに、
中原もつられて頬を緩めた。
「…で、中也」
ふと、太宰が話しかける。
「何だよ」
「私が君の頼みを聞く時に、条件あったの覚えてる？」
ニコリと笑う太宰。
「条件？……あ。」
「思い出してくれた？
勿論、許可してくれるよね？」
意地悪そうな笑みを浮かべる太宰。
中原は拳がプルプルと震える。
「手前…真逆、俺がこうなるの判ってて…！！」
『条件って…何よ？』
Aは不思議そうに首を傾げた。
太宰はニコリと笑う。
「…“ Aちゃんと私が、一日デートする ”」
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レタス - とても読みやすい小説でした。ありがとうございました！ (11月5日 10時) (
レス) @page29 id: 56b8d7e8d6 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - とても物語の世界に引き込まれる感覚で、最初から一気に読んでしまいました。本当に面白かったです！中也と夢主ちゃんとの関係性もドキドキして読むのが楽しかったです。この作品を見つけられて本当に良かった☺️ (7月9日 22時) (レス) @page30 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
meme - 中也さんと夢主の関係がとても良くて感動しました。文才ありますね。すごいです。 (2021年9月5日 18時) (レス) id: 8a122b7869 (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ(プロフ) - とても感動しました泣 (2021年4月6日 19時) (レス) id: 0eb527936d (このIDを非表示/違反報告)
しま - 今まで読んだ中で一番深いと思ったお話でした。すごく読みやすかったです！ (2020年7月23日 19時) (レス) id: 2d44a29385 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花翠 | 作成日時：2018年3月18日 20時
